大分建設新聞

インタビュー

伊東 忠文さん(協和産業㈱社長)

2020年09月28日
 大建協津久見支部長を務める伊東忠文社長が先代(父親)から土建業の社長を継いだのは28歳の時。ちょうど青春時代がバブルのまっただ中だったのに対し、社長を継ぐ頃にはバブルはすでに過去のことになっていた。「若くして継いだので社会勉強をする時間が多かったのはありがたかった。やっと従業員にきれいな道具や車両(新品)をそろえることができた」と、当時を振り返りながら話し始めた。
 「私には話すことなど何もないですよ」と謙遜しながらも「泥臭く、汗臭い、純粋な土建業を営んでいるだけ。地道な日々を積み重ねているだけ」と、言うはやすく、実行は難しいことを簡単に話す。その背景には、高校時代に先生から「土木という仕事は、地域のインフラや環境を整備する仕事で、災害から地域を守る仕事だ」という話を聞いたことが大きく影響している。先生の言葉を受けて土木の道を歩むことを決心し、仕事へのプライドが確立した。
 「地域すなわち地元津久見で認められる企業になりたい」と会社の目指す姿を示し、「同業者全体が津久見から認知されることが成長につながる」と、市内の業界全体も俯瞰する。
ただ、現実には、まだ十分に土木建設業を伝えきれていない、とも。
 「これは経営者の責任。時代の変化に沿った人材確保の取り組みが必要だ」と困難な課題を冷静に分析する。その中で「SNSは重宝している」と時代の流れをくみながらも、単純な評価主義や規制だらけの社会構造には疑問を持ち、それが業界の衰退の一因となっているのではないかと危惧している。
 「当たり前のことを実直にやること。それを皆んなやっていると信じることが大切だ」と、現在を肯定した上で、古き良き時代の大切なものは引き継ぐべきという姿勢を明らかにした。
 「建設業のルーツは人工貸しにあり、人を動かすことによって人から喜ばれる」と、時代がいくら変わっても、そこに存在する「人の大切さ」は受け継がれていくと明言する。
 「その目的は従業員のためであり津久見のため」と言い切り、郷土愛の深さを強くうかがわせる。社長は、津久見のポテンシャル(可能性)と地域性への強い信頼を持っており、「産業界全体に浸透する助け合い精神がチームワークを強固なものにしている。建設業界も少数精鋭でアピールしていく」と、将来への団結力を強調して話を結んだ。
 「津久見を守るためには、津久見高校を守らなければならない」と、建設業界だけでなく広い視野でふるさと津久見を愛しており、一方で社宅の新設による社員の定住促進や、コロナ禍での飲食業への支援も忘れていない。
今回のインタビューを終えて、伊東社長の言葉には「愛情」という言葉は一度も出てこなかったが、社長が津久見愛、業界愛、会社(従業員)愛、家族愛にあふれている人だということは、強く伝わってきた。
 【メモ】人工貸しとは、労働力を貸し出すこと。貸し受けられた会社の指示系統に組み込まれて仕事をする。
 
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP