大分建設新聞

インタビュー

後藤 建一さん(㈱河野測量設計社長)

2020年08月12日
 後藤建一社長は、県立緒方工業高校機械科を卒業して、遠く県外に就職していたが、Uターンで帰郷した際に大分県農業協同組合専門学校で経営を学んだ。その後、当時の農協を経てJA、建設業、測量設計業の経理財務部門で働いてきた。後藤社長が「財務畑の出身」と切り出したのは、そんな経緯からである。
 そして現在は、測量設計会社を経営する。
 「測量設計会社だから技術者は当然必要だが、一方で経営者は財務会計や会計監査の能力も必要なので、(自分がいれば)会社組織としては何ら問題なく、むしろ堅実で無駄のない経営ができている」と、ここまでの経営の道のりを振り返りながら語る。
 遠く県外で努力を積み重ねていた頃も、やむなくUターンを決断した頃も、「厳しく辛いこともあったが、上司に恵まれたことは自分の大きな財産になった。人との出会いは本当に大切」と、経験から得た言葉で語り「企業は人なり」と確信的に強調した。
 人材面では、縁あって地元の竹田南高校普通科出身の2人の若者を採用した。今年3年目を迎えている。「蒔いた種が、今やっと芽を出そうとしているところ」と2人の将来を見つめる。今後、「芽吹きで留まらず、実を結ぶためには『気づき』が必要。自ら気づき、自ら奮起してほしい。そのためには日常の生活を見直すことも大切。すべてが自分の将来に返ってくる」と、2人の人間的成長に期待を込めた。
 測量設計の会社には多くの資格が必要だ。彼らも測量士を目指さなければならない。「企業が人を育てる時代だ。当社も測量士の資格を得るために会社内に『専門学校入校支援制度』を設け、1年間熊本で学ばせている」と、大分県にはなくなってしまった測量士の専門学校を会社自身が補完している。
 「この業界で一人前と呼ばれるには10年かかるし、企業で人を育てるには〝財務体力〟が必要」と、人材育成についての持論は、社長自身の得意分野を生かした会社の長期プランの一環でもある。
 河野測量設計は、1983年に創業し、豊後大野市(旧緒方町)に本拠を置く測量・設計業を中心に営む会社。主な取引先は、大分県(土木建築部、各振興局)、豊後大野市、竹田市、臼杵市。「高度成長期に整備されたインフラが今、寿命を迎える中で、地震をはじめとする自然災害も多く、安全・安心な生活のために地域社会に貢献することが弊社のあるべき姿」と抱負を述べた。
 「川端康成が遺した『有由有縁』という言葉が好きだ」と言う。この言葉には、人との出会いや物事との接点が生まれるのは、偶然ではなく、それなりの理由が働くからであるという意味がある。「遠く県外で就職していた時にお世話になった先輩とは今も交流が続いており、私の今を形成する原点となる出会いだった」と、出会いが現在に生きていることを語り、「社員も、縁を大切に、またその出会いを得るための日々を大切にしてほしい」と、話を結んだ。
 趣味は、掛け軸の豊後南画の収集と鑑賞。2018年10月11日、竹田市で行われたテレビの人気長寿番組「開運・出張なんでも鑑定団」の出張鑑定の公開収録に出演して、お宝の鑑定を受けたことがある。もちろん、その結果は…





 
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