大分建設新聞

インタビュー

伊藤 太一さん(山国川河川事務所長)

2020年05月28日
 九州地方での勤務は今回が初めて。
「山国川は、名勝耶馬渓との景観が織りなす全国的にも有名な観光名所であり、ここで働けることが楽しみ」と、新任地の景観に目を見張る。
 山国川河川事務所は、山国川だけでなく耶馬渓ダム、平成大堰の管理も行っており、上流から河口まで範囲は広い。
それだけに「地域に果たす役割は大きく、業務への責任を強く感じている」と、着任早々気を引き締める。
 現在、世界的に甚大な被害を出している新型コロナウイルスについては「この事務所でも、住民の方々への説明など対面で行っていた業務を、あえて避けるなどの影響があるが、テレワークのような新たな手法にも取り組んでいる。新しい事業に取り掛かろうとしている今、一日でも早い終息を願うばかりだ」と悲痛な思いを語った。
 注目の事業としては「2012年7月の豪雨で起きた山国川の氾濫で、多くの家屋や事業所などが水に浸かる被害が出た。これを受けて13年度から床上浸水対策特別緊急事業が始まり、18年6月末で対策工事は完了。引き続き、山国川全域を通して重要な箇所の防災対策工事を順次行い、治水の安全度をさらに向上させていきたい」と決意を述べる。
 また、今後の事業についても「大分県中津市や福岡県吉富町、上毛町と検討を進め、20年3月に登録された『山国川下流地区かわまちづくり』計画がある。河川とまちが一体となり、さらなる地域の発展の場になる、いわば山国川が地域の『元気』に貢献する事業だ」と、ビジョンを披露する。
 整備の内容は、大分県側の中津城地区では、サイクリングルートの拡幅、階段護岸の整備―など。福岡県側の唐原地区の親水護岸や川の駅では、サイクリングターミナル、カヌー艇庫―など。さらに広津地区では、河川の河道整生、グラウンドゴルフ場、ドッグラン―などのハード面の整備を行う。
 「建設業の皆さんの力を借りながら、地域の皆さんが楽しみ、安全に暮らしていける場を作り上げていきたい」と、建設業界への期待を込めた。
 建設業に対しては、出水時期などの災害発生時の災害復旧工事や、防災対策工事への貢献を述べ「床上浸水対策特別緊急事業では、すばらしい景観や土木文化財などがある山国川の価値を損ねないようにする難しい工事だったが、施工会社の卓越した知識と熟練の技術力ですばらしい工事を成し遂げていただいた」と、感謝を述べた。「日々の河川管理はもとより、現在進めている『山国川下流地区かわまちづくり』など、共に協力し、これからもよりよい関係を継続していきたい」と、大きな信頼を寄せる。
 趣味はジョギング。前の近畿地方整備局では、職場でチームを作り、市の主催するマラソン大会に出場していた 。今も健康管理のため、時間があれば約10㌔ほどのコースを走っているので、マラソン大会があれば参加してみたい―と語る。東京に住む奥さん、3人の子どもと離れての単身赴任。健康づくりに頑張っている。



略歴~2001年電気通信大学大学院を修了後、国土交通省に入省。
14年4月国土交通省大臣官房技術調査課課長補佐、
17年4月近畿地方整備局緊急災害対策調査官、
18年4月近畿地方整備局九頭竜川ダム統合管理事務所長を経て、
今年4月から現職。44歳。
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