大分建設新聞

インタビュー

後藤 千鶴さん(㈲アーキワークス・TeTsu建築設計室取締役)

2020年04月03日
 大分県木材会館の新築工事で、設計マネージャーとして全体をサポートする役割を担う㈲アーキワークス・TeTsu建築設計室一級建築士事務所(大分市、三又哲博代表取締役)の後藤千鶴取締役に聞いた。
 後藤さんは、高校の建築科で学んだが、在学中に建築士を目指したわけではなかった。
就職の際に、企業の歯車になるのは自分に合わないと考え、方向転換を模索している時に、現在の設計事務所を紹介され、社会人としてスタートした。
 話が進むにつれ、ぐいぐいと強く推して行くタイプではなく、一歩一歩、一言一言を丁寧に考え進んでいく人柄に感じられた。
一級建築士の試験に臨んだ時、かつて二級建築士の試験を一度失敗していることを念頭に、二度と同じ轍は踏まないと心に誓い、綿密に立てたスケジュールを着実にこなして、1回で合格したエピソードがそれを物語っている。
 今まで一番思い入れのある作品は、「日田木材協同組合」と話す。この建物は、同組合が木材を勉強したい建築士を募集してセミナーを開催し、このセミナーの応募者がコンペの参加資格を得られるというものだった。
 そこで、後藤さんは、セミナーで学び、コンペに参加した。
コンペの作品作りと発表までは、仕事が終わってからの時間と休日を利用して取り組んだ。そして見事に設計者に選ばれた。
 設計監理の業務は、同社の担当として遂行したが、「企画から完成までを主導した作品でもあり、とても貴重な経験になった」という。
 男女の差ではなく1人の個性を意識して仕事に取り組んできたことが実を結んだ瞬間だった。
この日田木材協同組合の経験が、今回の大分県木材会館の設計に生かされている。
 苦手なことにも目を背けずに向かい合い、事務所のチーム力を的確に使い、「お客さまの納得と信頼を得る作品を遺したい」と語る。
 振り返れば、同設計事務所の門をくぐって20年近くが経ち、2019年3月から取締役を務める。
代表取締役の三又さんは、後藤さんの細やかさと責任感に全幅の信頼を寄せている。
アーキワークス・TeTsu建築設計室、そして後藤さんから目が離せない。


お客さまの納得と信頼を得る作品を遺したいと語る後藤さん
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