大分建設新聞

インタビュー

鹿毛 英樹さん(山国川河川事務所長)

2018年08月02日
 今年4月に着任した。一番に思うことは、近年各地で多発している、自然災害への対策である。
英彦山に源を発し、周防灘に注ぐ山国川には、上流に耶馬溪ダム、下流に平成大堰がある。
「日々の管理はもちろん、耶馬溪ダム、平成大堰は洪水時や渇水時に重要な役割を担う。職員一丸となって、しっかりと管理していきたい」と話す。
 昨夏の九州北部豪雨、2年前の熊本地震と大規模災害が続く。
九州地方整備局で災害対応をする中で「直轄の管理区間だけでなく、近隣の市町村災害についても、可能な範囲で支援していくことが重要だ」と思ったという。
 赴任早々の4月11日に発生した、耶馬溪町金吉での土砂災害では「事務所一丸となって、行方不明者の捜索活動を支援した。救助は残念な結果となったが、多くの関係団体が力を合わせて取り組むことが重要」と語る。
 2012年7月の豪雨で起きた山国川の氾濫で、多くの家屋や事業所などが水に浸かる被害が出た。
これを受けて13年度から床上浸水対策特別緊急事業が始まり、今年6月末で完了した。
7月5日に発生した豪雨では、これが大いに効果を発揮した。
「安全度は格段に向上した」と自信を深めたが、観測史上最大という豪雨も珍しくなくなった。
「今後は、下流部の流下能力向上のため、堤防整備事業を実施していく」と課題を挙げる。
 山国川の整備では「河川内が名勝に指定されており、工事をするにしても文化庁との協議が必要。河床の奇岩や石橋など文化的価値が高いものもあり、どのように改修していくかが課題」と言う。
考えているのは「上流から下流までの景観、歴史、文化をつなぐサイクリングロードの整備や、防災拠点の整備などの『川を活かしたまちづくり』」。「新たな展開として検討していきたい」と話す。
 建設業に対しては、真っ先に耶馬溪町金吉地区で発生した山崩れでの捜索協力に感謝の言葉を述べた。建設業界への期待は大きい。
「インフラの整備や維持管理だけでなく、災害時の応急・復旧工事においても業界の方々の協力は必要不可欠。今後も意見交換などをしながら、よりよい関係を継続していきたい」と呼びかける。
 趣味はテニス。休みの日に仲間たちとテニスをして、楽しみながら体を動かしている。
ただ、日々の通勤には車を使うので、帰宅後にウオーキングで汗を流して健康管理に努めている56歳。



1984年福岡大学を卒業後、国土交通省九州地方整備局職員に。
延岡河川国道事務所河川副所長、国交省公共事業企画調整課課長補佐、九州地整河川部地域河川調整官などを経て、4月から現職。
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