大分建設新聞

インタビュー

原田 安泰さん(大建協日田支部長)

2017年12月07日
 7月5日、24年豪雨の倍近い雨量で、日田市はまたも甚大な被害が発生した。
地域の安全・安心を守る、県建設業協会日田支部の原田安泰支部長に、この夏を振り返ってもらった。
 当支部は、県日田土木事務所及び日田市と、災害発生時の迅速な対応や応急復旧などに関する災害協定を結んでいる。
7月6日に支部事務所に災害対策本部を設置、支部会員71社が市内各地を担当分けして、浸水した家屋からのゴミや土砂、道路の流木やがれきなどの災害廃棄物の撤去・運搬をした。
 多い日は100人以上、平均で約80人が出動した。
作業員は延べ1670人、ダンプなどの車両が延べ約900台、ハサミ付バックホウなどの重機を延べ約420台投入した。
重機がなければ、がれきの片づけができないため、災害発生と同時に手分けして重機の確保をした。
災害廃棄物の撤去・運搬には、ちょうど1ヵ月間を要した。毎夕、当日の作業内容の報告と翌日の段取りを確認。
この間、日田盆地特有の高温多湿の中で、作業員は緊張感を持って良く頑張ってくれた。
 市内各地区で道路の崩壊や土砂崩れで、集落の孤立が多発したが、会員企業の働きで徐々に解消した。
小野地区の大規模土砂崩れで、小野川が堰き止められ土砂ダムとなった。
小鹿田焼で有名な皿山などの集落が完全に孤立し、2方向から仮設道路の開設を始めた。
 先に鶴河内方面からの仮設道路が開通できたが、交互通行で4㌧車がようやく通れる道幅しかない。
一方、藤山町からの仮設道路は、住民の生活道路でもあるため、応急復旧するには大型ダンプが通行できる6㍍幅が必要だ。
国、県、会員企業の建設業者が連携し、仮設道路と土砂ダムから排水する仮設河道の開設を急いだ。
 いつまた大規模な土砂崩れが起こるか分からない状況の中、重機オペレーターは「死」を覚悟し、文字通り命がけの仕事をした。無事完成したのは、永年培った熟練した技術のたまものだ。
 今回の被害は、5年前の豪雨災害より甚大だったが、これまでの経験から支部会員全員が何をすべきか把握しており、迅速かつ的確に活動した。
災害時の対応と応急復旧は、地域を知る地元建設業者しかできない。
今回は、過去精一杯やってきたことが自信となって、現場で淡々と仕事をこなした。
会員企業は全社、本当に良く頑張ってくれた。
 地元には日頃、お世話になっている。地域の安全・安心を守るのは、我々地元建設業者で、災害時は、(自衛隊にはできない)我々にしかできない社会貢献活動がある。
国、県、市や地域住民にも、地元建設業者の活動を理解してほしい。


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