大分建設新聞

インタビュー

柴田 康輔さん(柴田建設㈱代表取締役)

2017年03月29日
 柴田建設㈱(大分市)代表取締役の柴田康輔社長は、台風や大規模災害が発生した時でも事業継続ができるよう、24年10月に、復旧活動の手順書を作成し、台風を含む災害に対応できるBCP(事業継続計画)を策定した。
災害で大分市中判田の本社社屋が損壊し、早期復旧が困難と判断した場合は、近くの社長宅に本社機能を一時移して業務を続ける。
 最近は、台風の接近などは気象情報を見れば容易に予測できる。
真夜中の急な呼び出しにも、すぐ対応できるよう社員らは断酒して待機するなど、意識が高まってきたという。
 BCPに取り組んだきっかけは、23年3月11日に発生した東日本大震災。
同社は、九州地方整備局から要請を受け、支援活動のため発生から1ヵ月後に東北の被災地での道路啓開活動や、二次災害防止のためポンプ車を出動させた。
 「東日本大震災が発生し、復旧活動が進む中、BCPの存在を知った。台風や梅雨時期は、どのような対応をすればよいのか、頭や体では分かっていたが、地震に対しての対応策はなかった。今まではマニュアルがないまま対応してきたが、災害時でも事業継続するために始めた」と語り、発生から半年後には台風も含めた大規模災害対応のBCPを策定した。
 事前に、サブリーダーを任命、BCP発動後の社員の役割分担も決めた。
大規模災害が発生したら、まず緊急対策本部を設置。対策メンバーを招集し、メンバーがBCP発動を検討している間に、会社に駆けつけた社員が初動対応。
ほかの社員の安否や被災状況の確認、二次災害の防止対策などを指示。
本部がBCP発動を決定したら、手持ちの工事現場のバックアップも含め、顧客・協力会社・社員・資材・設備・財務対応をし、復旧活動に取りかかる手順。
 災害時には、人やトラック、機械などは出せても、燃料が切れたらどうするかなど、個人企業だけでは、いつ発生するか分からない大規模災害に備えて、何百㍑もの燃料をストックしておくわけにはいかない。
「官民問わずの協力体制を構築することが必要」だと力を込めた。
 いざ災害が発生したら、地域は大混乱する。
「我々建設業者は使命感から真っ先に被災地に出動する。しかし、社員にとっては家族の安否が一番気がかり。行政が前もって、小学生以下の家族を中心に避難する場所や、高齢者家族が避難する場所などを決めておいてくれたら、安否確認もしやすいし、物資輸送、医療チームやボランティアの派遣にも役立つのでは」と、避難所設置体制の再検討を要望している。



BCPを策定した柴田社長
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP