大分建設新聞

インタビュー

佐藤 実さん(建築みのる棟梁)

2017年03月17日
 日田市西有田の佐藤実さんは昨年、建築大工部門で厚生労働省の28年度卓越した技能者「現代の名工」の大臣表彰を受賞した。
 日田祇園山鉾の製作、国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区・同市豆田町)での保存修理や児童たちに「ものづくり」の楽しさを伝える活動もしている。
現在、豆田の草野本家住宅の大規模保存修理工事に関わっている。
 ―「現代の名工」を受賞しての感想は
 佐藤 この道50年。職人として最高峰の賞だから、この上ない栄誉で大変うれしい。
4日は、県技能士会連合会の主催で、広瀬知事をはじめ関係団体の方々に祝っていただき感謝している。
賞の対象になるには、古い町並み保存の工法か、全く新しい工法の2通りしかなく、古い町並みは、伝統工法を身につけないとできない。
 ―後継者育成で取り組んでいることは
 佐藤 小学生にはものづくり教室で、高校生には、ひた伝統技能マイスターが、職人教室を開いている。
中学生にも教えたいが、機会がないのが残念。一般には、日田共同高等職業訓練校で働きながら技術を習得できる場がある。
 ―文化財保存で思うことは
 佐藤 行政には、修理の予算確保と専門家の配置をお願いしたい。保存修理は、手間暇かかるので専門知識を持った経験者でないと見積もりは難しいと思う。
日田は県内で唯一伝建地区があり、建築大工は地域特性の技法もある。若手の育成も早くしないと、職人の高齢化で難しくなる。今なら、技術を伝えるベテラン職人がいる。
 ―これからの思いは
 佐藤 自分やベテランの技術を、若い人に伝えたい。難しいのは「木を見る目」を養うこと。
木にはそれぞれ特色があるので、その木に合った使い方をしないと伝統工法は継承できなくなる。
年寄り大工の知識を、生かしてもらいたい。若い人が、職人になることを願っている。65歳。


略歴
昭和42年今井組に就職、平成12年匠建築工房で独立、同21年建築みのるに改称。
日田地域技能士会会長、県技能士会連合会理事、同副会長など歴任。
平成7年に建設マスター優秀施工者建設大臣顕彰。
2級建築士、1級技能士、2級建築施工管理技士、職業訓練指導員など多数の資格所持。
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