大分建設新聞

インタビュー

平野 芳昭さん(玉来ダム建設事務所参事監兼所長)

2016年06月23日
 玉来ダム事務所勤務は今回で2度目。前回は、当時竹田ダム事務所だった13~15年度に稲葉ダム本体工事の発注などを担当した。
玉来ダムの本体工事発注を前にした、忙しい今の状況と似ている。これまで土木技術職員として、河川や砂防の災害復旧工事も数多く担当してきた。
 「玉来ダム建設地は、阿蘇山の噴火で4回の火砕流があった場所。地質的には、地盤が固い層と軟らかい層が交互に重なっている複雑な地層で、火砕流が冷え固まるときにできる亀裂は、ダムの漏水の原因になる。火砕流地帯にダムを建設するのは、技術的にも難しい」と言う。
 22年度に完成し、効果を発揮している稲葉ダムとの違いを聞くと、玉来ダムは流水型という点を挙げた。
「玉来ダムは流れ込む川の水を、ダムの底部に開いた洪水吐から常に下流に流し、洪水時には一時的にダムに大量の水を貯めて、下流に流れる水の量を少なくし洪水被害を防ぐ。一方、稲葉ダムではダムの中ほどにある洪水吐の高さまでは、渇水に備え常に水を貯めていて、大雨時はその上に水を一時的に貯め込み洪水被害を防ぐ。流水型ダムは、下流の魚なども上流に自由に行き来できるなど、自然環境に優しいダムといえる。過去に何度も水害を経験した竹田市民が、安全で安心できるダムを一日も早く完成させ、その効果を発揮できるよう努めたい」と。
 さらに「現在、本体工事発注の準備に忙しく、職員らも目標に向かって、情報を共有しながら一人に負担がかからないよう、一致団結して取り組んでいる。周辺工事などで地元業者さんの協力もお願いしたい」と語った。
 9月までに本体工事を公告、28年度中に契約を済ませ、29年度に入って工事着工の予定。完成は34年度を見込んでいる。
 地球科学に興味を持ち、地質学を専攻。
在学中の昭和53年に宮城県沖地震を経験し、ブロック塀の倒壊や住宅地の地盤崩壊、液状化現象などが起き、その調査を手伝った。
 休日は、地元のテニスクラブで汗を流している。杵築市生まれの58歳。単身赴任中。


略歴
昭和55年、東北大学を卒業、建設コンサルタント会社勤務を経て、昭和62年に県職員に。国東土木事務所長などを経て、前任は県河川課長。今年4月、現職。
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP