大分建設新聞

インタビュー

広沢 稔さん(県西部振興局長)

2015年12月08日
 「日田は初めての任地。一通り管内を回り、各方面の方々とも話ができた。そして思いついたのは、『政大経福』という、日田を一言で表す四文字熟語。政治は大分、経済は福岡と感じての造語。県と市の連携は非常にうまくいっているけど、買い物、農業産品の出荷、働き場など、経済の面で大分との結びつきが薄く、多くは福岡側につながっている」。話には聞いていたが、直に歩き、見聞きして、実感した日田の印象。
 いろんな部署を歩いたが、中でも「商工労働部情報政策課で豊の国ハイパーネットワーク整備を手がけたのが、私の一番の大仕事。2年間かけて、県内約500㌔㍍の光ファイバー網を接続した。前例が無く、ネットワーク構築に苦労した。おまけに山の中に入って、草木の毒で皮膚がかぶれるなど、大変な目にも遭ったが、今の県行政の根幹をなす、ネットワークを築くことができた」。生涯忘れられない思い出だろう。
 地域の課題を挙げる。「農業は、付加価値アップが求められる。日田には得意な物(アイテム)があるので、それを工夫(アイデア)して、主体性(アイデンティティー)を持つ「3アイ」が必要と思う。台湾や香港への輸出を増やそうとしいる日田ナシは、県としても支援する。稲作は、農地集約化の必要性を理解してもらい、集落営農を進め、飼料米と飯米のバランスをとりながら、企業的経営を推進する」と力を込める。
 農産物は、加工して売る6次化を推進する。「県は、27年度から10年の長期総合計画の中で、農林水産物の産出額に、加工品による付加価値額をプラスしている。野菜、果樹、畜産などを加工して売るということは、商工業分野の話になる。農業と商工業が重なるところは、農業側が積極的に対応しないといけない。消費者のニーズに、農業生産者が応える努力が重要だ」と強調する。
 建設業界の動向が気になる。「建設業は10年、20年前に比べると、発注量が少ない。受注依存度が高い公共事業が減少して大変だろうが、なんとか頑張ってもらいたい。地元業者さんが、もっと受注できる機会をつくりたいし、技術力や、手持ちの重機を生かせる、農業分野への参入についての情報提供をするなどで、お役に立ちたい」と結んだ。


略歴
昭和55年、東海大学政治経済学部を卒業して、日本国有鉄道職員に。62年、県職員採用。中部振興局地域振興部長、前任の企業立地推進課長などを経て、今年5月、現職。宇佐市出身の58歳。
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP