大分建設新聞

インタビュー

上野 達己さん(大分塗装工業社長)

2014年12月09日
 上野さん(大分市、大分塗装工業社長)は、26年度の建設事業功労者国土交通大臣表彰を受賞した。日本塗装工業会(日塗装)の理事(現在は顧問、九州ブロック副会長)を長年務め、塗装業界の発展に寄与した功績が評価された。
 20歳のとき父親が経営する同社に入社し、以来、建築塗装一筋。27歳の若さで社長になり、技術力アップ、職人の養成などに頑張ってきた。昔は家具や建具も無垢材のままのものが多く、それらの仕上げの塗装も手がけた。だから「塗装は仕上げ、見栄えが全て」というのが信条だ。
 県立美術館の塗装全般も請け負った。「美術館の塗装はグレードが高くて、仕事が難しかったが、職人たちも頑張ってくれて、やり遂げることができた」と安堵の表情。
 「この仕事を始めて40年以上が過ぎた。その間、職人の気質も腕も変化した。昔は気の荒い職人が多かったが、今はおとなしい」と言う。現場でケンカが起らないのはいいのだが、一人前の職人になるのに、昔は5年もかからなかったのが、今は10年以上かかる。気骨があった昔の職人は、一人で何もかもテキパキとこなしていた。それが、今は分業体制になり、昔のようなスピード感のある仕事をこなせる職人が少なくなった」と言う。
 若い入職者がいないのも建設業全体の問題だが、特に塗装業界では厳しい状態だ。「ペンキで汚れるのが嫌だ」と3Kの代表格のようにみられているのではないかという。昔は職人になれば一生、腕だけで食っていけるといわれたが、そういう時代ではなくなった。待遇面を含め「もっと職人を大事にする社会に」というのが上野さんの願いだ。



県立美術館の塗装工事も手掛けた上野さん
 
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