大分建設新聞

インタビュー

森口 孝行さん(大分市水処理事業協同組合理事長)

2014年09月30日
 きょう1日は、「浄化槽の日」。浄化槽の周知徹底と合併処理浄化槽の普及促進により、生活環境と公衆衛生の向上、河川環境保全を目的に設けられている。
 現在使われている浄化槽には、し尿のみを処理する単独処理浄化槽、生活雑排水とし尿を一緒に処理する合併処理浄化槽がある。単独槽設置家庭の場合は、炊事、洗濯などの生活雑排水がそのまま川に流れるため、河川の汚染原因に挙げられており、原則として現在は単独槽の新設が禁止されている。そのため、13年に浄化槽法が改正される前に設置された単独槽から合併槽への切り替えが、全国で進められている。大分市は、単独槽、くみ取りから合併処理浄化槽に切り替える設置者に対して、例えば5人槽は43万9000円(上限)の補助金を出す。
 市の25年度末現在の下水処理人口普及率は59・9%。全国平均の約76%(24年度末)と比べ、まだ立ち後れている。組合では、年間、約300件の合併槽への切り替え工事と、新築住宅などの新規合併槽設置を1000件以上実施している。
 「汲み取り式と単独槽は、生活雑排水が、そのまま川に流れる。特に、野津原地区は、大分川の汚染防止のためにも普及促進が必要」と言い、同地区と、同じ状況の佐賀関地区での合併槽普及に力を入れている。
 合併槽は、車1台分の用地があれば設置工事が可能で、合併槽への切り替えは、事前に浄化槽を臨時に設置して工事をするので、日常生活に支障はない。また、公共下水道は地震などの災害で管路が破損すると、接続している家庭の多くはトイレなどが使用できなくなるが、各家ごとに設置している浄化槽は、破損がなければ通常通り使用できる。実際、東日本大震災で、全損して使えなくなった浄化槽の割合は少なかったという調査結果もある。
 森口さんは「地域の川をきれいにしなければならない。私たちも、ポスターなどでの啓発活動、アユの放流などに取り組みたい。川を汚す生活雑排水を減らすため、これからも組合挙げて、合併浄化槽の普及活動などに取り組む」と話す。
 多くの生物がすみ、人々の身近にある川。その川の環境を守るため、合併処理浄化槽への切り替え促進と環境保全活動に、組合は全力を挙げている。


合併処理浄化槽の普及に取り組む森口理事長
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