山田 孝広さん(大分土木事務所)
2014年02月21日
国道442号宗方拡幅の事業説明会を取材した際、懇切丁寧で説得力のある説明と、地元の方々への対応に「これぞ地域との協働による公共事業の進め方だ」と、山田さんの手腕に感動した。
山田さんは日田土木事務所をスタートに、本庁道路課、佐伯土木事務所と、一貫して道路を担当してきた。国土交通省本省の道路課に研修員として赴任したこともあるそうだ。しかし「今回のような計画段階から担当するのは初めて」だという。この3年間、どうすれば地元の合意を得ることができるのか、行政と利用者、地権者が同じ方向を向くことができるのかと悩み、努力した末にたどり着いた方法論が開花したのだ。
まず大切にしたのは「地元との課題の共有。この課題は自分には無関係だ、と思われると前に進まない」。地元の課題に対応した道路をつくるために意見交換を十分に行った。そして明け方から夜まで現地の写真を撮影し、どれだけ歩行者や自転車にとって危険な道路なのか、地元の人々も実感できるような写真を撮影して、説明会や意見交換に臨んだ。「自分の言葉で話しかけるため」だという。
そうした山田さんの真摯な姿勢を、地元も応援した。期成会が自発的に住民にアンケートを行い、回収して分析してくれたのだ。期成会からもらった膨大な資料が、地元の要望を反映した計画の検討に役立った。そしてその案に、住民も「こういう道路がほしかった」と説明会で発言した。
地元の意見が分かれることもある。例えば植樹帯の設置については賛否両論があった。そこで「電線共同溝の地上器や標識の設置に備えて」植樹帯のスペースを確保する案を提案した。このような感情論に陥りやすい論点については「合理性を盛り込んだ提案をすることで納得してもらえる」と語る。
上司の衛藤隆義課長は「地元の信頼を獲得できたことはすごいことだ。この事業はこれからが本番で様々な調整事項をこなさなければならない。また、別の大型案件も抱えている。不可欠で貴重な人材だ」と期待を寄せる。「大型案件」が何かは教えていただけなかったが、これからが楽しみだ。
地元住民と意見交換を重ね課題を共有する山田さん
地元住民と意見交換を重ね課題を共有する山田さん