牧 佑奈さん(九州建設コンサルタント)
2013年11月23日
大分高専の都市・環境工学科で、亀野辰三教授の研究室で学んだ。学科5年目から専攻科の合計3年間は「風景街道」まっしぐら。「別府湾岸・国東半島海べの道」の風景街道登録のための研究と調査に邁進した。沿道住民へのヒアリングなどを通じた意識調査・分析を行い、登録に必要な提出書類をまとめるなど、むしろ「実務」に近い研究の日々を過ごした。そして今年2月に登録申請、卒業を迎えた3月に見事、登録された。 卒論はもちろん「風景街道登録を目指した基礎研究」だ。今春就職した同社で道路設計に従事するかたわら、風景街道登録活動の中心となった「道守大分会議」の事務局も務める。そんな経験からも「道路が単なる交通空間でなく、交流空間になれば」という思いが強い。 高専の女子同級生には、建設業界以外の業種に就職する人もいる。しかし牧さんは、東日本大震災で道路の啓開・復旧作業の模様を知り「土木に関わる仕事に就きたい」と、同社に入社した。今春入社したばかりで「実務はまだまだわからないことだらけ」と奮闘の日々だが「先輩から、この道路は自分が設計した、という話をよく聞く。自分の仕事が形になる、という感動を早く実現したい」と熱意を語る。 今山清社長は、風景街道登録申請業務を通じて、学生時代から牧さんと面識がある。しかし、採用は入社試験・面接だ。今山社長は「他の草食系男子よりもずば抜けて元気が良かったので役員全員一致で採用した」と語る。そして「学生時代から。地元調査など彼女の段取りのうまさやコミュニケーション能力を見込んでいた。インターネットの時代になってもコミュニケーションは大切。土木コンサルとして、コミュニケーションの手腕を遺憾なく発揮してくれるでしょう」と期待する。 高専で学んだ「リケジョ」(理系女子)だけあって、趣味はものづくり。レゴ(おもちゃのブロック)大好きで、なんと今はクラゲをつくっているという。デザインにもうるさい。自宅では北欧調のインテリアに、モダン建築の巨匠ル・コルビュジェのソファを置いている。そんな牧さんが、これからどんな大分の「風景」を創造してくれるのか、楽しみだ。
学生時代に風景街道登録活動に取り組んだ牧さん
学生時代に風景街道登録活動に取り組んだ牧さん