大分建設新聞

インタビュー

工藤 利明さん(県農林水産部長)

2013年06月08日
 部長就任早々に大仕事が待っていた。国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する、世界農業遺産への登録申請だ。今回、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」を、大分県では初めて申請し、5月29日の国際会議で正式に認定された。工藤部長は、「この取り組みは認定がゴールではない。これを生かして、伝統的な農業の継承や、農業や観光振興につなげていかねばならない」と気を引き締める。  部のスローガンに「TEAM農林水産」を掲げた。Tは「TPPへの対応」「トライ」「技術革新(テクノロジーイノベーション)」、Eは「全精力(エナジー)の傾注」、「笑顔」、Aは「アクションプランの達成」、Mは「動き(モーション)を機敏にキャッチ」と、年間産出額2100億円を目標に、部の総力を結集することを職員に訓示した。  産出額アップへ、「The・おおいた」ブランドの普及を進める。コンビニエンスストアでも販売され好評なサツマイモ「甘太くん」、荻町の赤採りトマト、佐伯市などの塩トマトなど、消費拡大を図る。また、「情勢が厳しいブリの養殖に代わる有望品目、ヒラマサの種苗開発にも力を入れたい」と意欲を見せた。  生産基盤の整備は、「ほ場など、大きな面整備はほとんど完了している」と話し、「今後はストックマネジメントが重点になるだろう」と農業用施設などの維持、改修にシフトしていく考えを示した。また、危険なため池の調査・改修を一層進めるなど、防災対策にも積極的に取り組む。  林業については、林地の団地化や路網整備などに力を入れる。生産コストを下げ効率的な作業ができるように、専用道や作業道などの林道整備を進める。  前任は中部振興局長だったが、「これまで本庁勤めが長かったので、局長として現場を直接見ることができて勉強になった」と話す。その経験を生かしながら、部のトップとして、県勢発展に尽くしていく考えだ。  趣味は山登りと渓流釣り。今年は正月早々、臼杵市や由布市など中部振興局管内の山に、立て続けに登ったという。「県内には良い山がたくさんある。なんとかひまを見つけて登りたい」と笑顔を見せた。   略歴  昭和53年、県採用。総務部財政課勤務が長く、予算編成などに携わってきた。平成21年農林水産企画課長、24年中部振興局長を経て、今年4月現職。57歳。




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