大分建設新聞

インタビュー

坂山 敏ニさん(大分川ダム工事事務所長)

2013年05月23日
 「ダム事業の検証のために、2年間止まっていた事業が再び動き出すタイミングに赴任となった。緊張もするが、地元の皆さんのために気を引き締めて精いっぱい取り組みたい」と切り出した。  着任早々に、地元や関係機関などにあいさつに行くと、ダムの早期完成を望む声がほとんどだった。ハード面だけでなく、観光など地域振興に結び付けるため、県や市への働きかけも必要と痛感した。下流域だけでなく上流域もその恩恵に浴するべきとの信念だ。  現在、付替林道河内地区2工区や、付替市道河内線古道地区1工区を工事中。このダムは、七瀬川、大分川の治水と、大分市への上水用水源としての役割を持つ。今年度は、いよいよ本体工事にかかる。総貯水量2400万立方㍍。九州の国直轄事業では初めての中央コア型ロックフィルダムだ。  大分川流域では、近年は大規模な災害は発生していないが、過去には台風によって、死者や行方不明者を出す災害が起きたこともあり、少雨による干ばつや異常乾燥による渇水も経験している。このため、県営芹川ダムと合わせて合理的に水をコントロールする計画だ。  「建設業へ一言」と問うと、「昨年の九州北部豪雨の際に最前線で復旧に動いた建設業者に感謝する。ただこれから先のことが心配」と。国の大型公共事業予算の配分で、建設業界への発注が増加する。現在進められている災害復旧工事、さらには老朽化が進む各種インフラの更新・維持補修工事などの発注が相次ぐ見通しだ。坂山さんは、「それを受ける業界は、長い間の受注不振で疲弊し、技術者が不足している。発注増に対応できるか不安がある」と言うのだ。  今年度から公共工事設計労務単価がアップした。「経営者の方々には、ぜひとも上昇分を従業員に支払ってほしいもの。技術者を会社に残し、技術を継承するためにも必要なこと」と語った。  今後、ダム本体一期工事、上流仮締切堤工事、選択取水設備工事、原石山進入路工事、市道や林道の付け替え工事などが発注される。総事業費は967億円、完成予定は29年度。  好きな言葉は「出会いを大切に」。久留米市の自宅に家族を残し、単身赴任。58歳。   平成19年、福岡市総務企画局部長に出向、21年に山国川河川事務所長、24年に九州地整企画部環境調整官などを経て今年4月、現職。




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