大分建設新聞

インタビュー

佐藤 啓治さん(大分工業高校土木科教諭)

2013年05月14日
 昭和62年、初任校の佐伯鶴岡高校に赴任して以来26年間、土木科の教諭として建設業界に人材を送り出してきた佐藤啓治さん。〝熱血指導〟で生徒の資質向上に地道に取り組み、高校教育の現場から業界のレベル底上げに貢献してきた。平成8年には、工学博士の学位を取得している。その功績が認められ、今年1月、文部科学省の優秀教員表彰で大臣表彰を受賞した。  佐藤先生は、初任校の佐伯鶴岡に15年、現在の大分工業高校は今年度で12年目となり、建設会社や公務員への就職だけでなく、大学進学などにも力を入れている。しかし、長引く不況の影響で建設企業の体力は削られ、当然のように求人は減っていて、若手・後継者不足問題を危惧する。  昨年、日田林工土木科の募集停止が発表され、地元の業界に衝撃が走った。「日田林工の場合は、建設業協会などがすぐに立ち上がり要望してくれたおかげで、土木コースという形で残すことができた」と安堵をみせた。しかし、「26年度に佐伯鶴岡と佐伯豊南高校が統合する予定で、それに合わせて土木学科が縮小、最悪の場合は削減されるのでは…」と心配する。  「そうなる前に、業界からも土木学科の存続へ声をあげてほしい」と訴える。「建設業は地域の基幹産業。その教育の場をなくすことは、地域経済にも大きな影響が出る。絶対に存続させなければならない」と強い口調で語った。  大分工業に赴任してきてからは、産学官連携や地域貢献活動などに積極的に取り組んできたが、その成果が徐々に表れつつある。数年前から毎年、学校周辺の小・中学校で測量の出前授業などをしてきたが、土木に興味を持ってくれる子どもが増えているという。実際に、出前授業を受けた子どもたちが、土木科に入学してきている。「建設業の人材を確保するためには、子どもたちに、建設業とは、土木とは何か、ということを知ってもらうことから始めなければならない」と話す。「これからも業界や行政、大学・高専などと連携し、優秀な人材を育成したい」と意気込んでいる。  


優秀教員として大臣表彰を受けた佐藤さん

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