大分建設新聞

インタビュー

奥野 博史さん(山国川河川事務所長)

2012年06月11日
 奥野さんの前任は九州地整防災課長。東日本大震災、紀伊半島台風、奄美大島豪雨、新燃岳噴火などの災害に対応した防災のエキスパート。口蹄疫や鳥インフルエンザの被害拡大防止対策にも携わった。それらの体験から「国として即応力、現場力、総合力の必要性を痛感した」と話す。  これまで河川、砂防、ダム、海岸などの治水事業、情報通信、防災業務など幅広い仕事を経験した。ただ山国川は、1級河川としては高低差が大きい方。「ここは津波災害よりも、洪水の危険性が高いし、逆に雨不足が続くと渇水が問題になる。それだけに河川本流や平成大堰、ダムの管理などを33人の職員と力を合わせ、緊張感をもって対応しなければ」と強調した。  今、平成5年と19年に氾らん被害が発生した、本耶馬渓町青地区の堤防を整備中だ。「災害は待ってくれないので完成を急ぎたい」と意欲を見せる。さらに「山国川中流部は堤防整備が遅れている。地域住民の視点に立って安心・安全のために、どのように整備したらいいのか、自治体や地域の人たちの意見を大事にしたい」と地元重視の姿勢。  宮崎河川国道事務所副所長時代の17年の台風で甚大な被害を出した大淀川の復旧事業が思い出深い。用地交渉、他事業との調整が難しい中、堤防、水門、ポンプ場などを突貫工事で整備した。「職員一丸となった組織力、地元自治体や住民との協力の重要性を痛感、大いに勉強になった」と振り返った。  「大震災などの被災地では、地元建設業者が復旧・復興に大活躍した。だが、テレビは自衛隊や消防の活躍を大きく伝えたが、建設業者はほとんど取り上げない。これでは建設業で働く人たちは悔しい思いをするばかり」と嘆く。建設業界が担っている社会基盤の整備が人々の安心・安全、利便性向上に大きく貢献していることを理解してもらうため、社会に分かりやすく説明することが重要」とも。  趣味はスポーツ。学生時代は野球、社会人になって地元ソフトボールチームで活躍。今はたまにゴルフをするぐらい。運動不足対策も兼ね、出来るだけ現場回りをする。「遅刻しない。会議は必ず一番に着席」がモットー。宮崎に家族を残し、6回目の単身赴任。


鹿児島大学工学部卒。昭和53年に旧建設省九州地方建設局に入り、初任は川内川工事事務所。宮崎河川国道事務所副所長、前任の九地整企画部防災課長を経て今年4月、現職。56歳。

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