大分建設新聞

インタビュー

田中 公夫さん(大分土木事務所長)

2012年05月23日
 県職員になっての第一歩は、大分土木事務所の工務第1課第1係。「周りはエキスパート揃い。大学を卒業したばかりの未熟な自分は、職場の皆さんにかなり迷惑をかけた」と振り返った。以来36年間、主に道路畑を歩いてきた。大分土木は今回で3回目の勤務。  一番の思い出は、大分市三佐~家島の家島橋架橋2期工事。平成2年からの2回目の大分勤務の時で、海側の一期工事は終わっていた。陸側の二期工事(鋼管矢板井筒基礎)の詳細設計を終えて工事を発注、一部着工したところで異動になったが、鋼管矢板を使った難工事で、今も忘れられないという。  大分土木が現在進めている事業は、JR日豊線をまたぐ事業延長840㍍の下郡中判田線跨線橋工事と大分川ダム関連の野津原バイパス(4・2㌔㍍のうち3・6㌔㍍まで供用済み)の整備や、県道大分港線(新川交差点から昭和通り交差点北側まで)の約700㍍を、歩行者と自転車通行帯を分ける(歩道のリニューアル)整備など。昭和通り交差点のバリアフリー化を検討する社会実験も計画している。  田中さんは、これからも「安全、安心の確保と生活の利便性向上のための社会資本整備と維持・管理に着実に取り組んでいく」と力を込める。特に道路。公共事業を取り巻く状況が厳しく、道路整備も一朝一夕にはいかないが、必要不可欠な道路の新設、拡幅改良などは積極的に推進する。また道幅が1車線程度の広さしかない道路は2車線化を目指すが、それが無理なら1・5車線化や離合所設置など、地域の状況に応じて改良したいという。  また「公共事業の抑制で建設業界は厳しさを増すばかり。今こそ新しい血を入れながら新陳代謝を図るべき大事な時」と指摘。特に全産業の就業者数に占める建設業従事者数は約1割。産業の少ない地方では重要な雇用の場だ。  「力のある建設業は先進的な取り組みをしてもらいたい。県発注工事を情報化施工するなど積極的にチャレンジしてほしい。まずは国発注工事でノウハウを習得し、小規模でも地場の工事に普及していけば、労働生産性は上がってくる」と業界の奮起を促す。  最後に「今の若い職員は提出する書類なども多く、自分の若い頃に比べ現場に出る機会が少ない。現場で施工業者やコンサルと一緒に考えていくことを習慣づけ、現場で取り組んだ達成感も味わってほしい」と若手職員にエールを送る。  休日は、大分市東八幡の自宅で夫婦でガーデニングを楽しむ。58歳。


昭和51年、九州工業大学卒業後、県に採用。大分土木事務所を皮切りに別府土木、三重土木、道路整備促進室長、日田土木所長、高速道対策局長など、主に道路、都市計画の仕事に従事。今年4月、現職。

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