大分建設新聞

インタビュー

安東忠彦さん(北部振興局長)

2011年09月12日
 県職員になって初任地が宇佐福祉事務所で、宇佐勤務は30年ぶり。「県北はポテンシャルの高い地域。県内一番の農業地帯であるとともに、自動車産業の集積、昭和の町や宇佐神宮など観光面でも元気がある」と、その活力が斬新に映る。  今、県が最重点の一つにしているのが異業種からの農業参入。担い手の高齢化や後継者不足などで、農業地帯・県北にあっても耕作放棄地が増えつつあるなど、構造変化が著しい。農業再生の一端を企業力に委ね、特に受注難に苦しむ建設業の生き残り策の一つとしても、農業参入を軌道に乗せたい。「これまで当振興局は、農業参入に実績をあげてきた。今後も、引き続き参入促進を図るとともに、参入企業の経営安定に向けたフォローに全力で取り組む。特に建設業に対しては、経営が軌道に乗るまでに必要な投資、企業体力維持、人材育成、ノウハウ蓄積など課題が多い」とし、これらに対応するため、職員一人ずつを参入企業担当にし、きめ細かな指導に当たらせている。  県北山間部の過疎地でも鳥獣被害が深刻だ。局長は、鳥獣害対策と地振おこしを一体に考えようと意欲をみせる。「被害対策に取り組む中で、過疎・高齢化問題を共通課題として、地元と連携を深め、新たなコミュニティーづくりなども考えたい。このため地区本部会議を振興局内に設置し、各市や地元まちづくり協議会などと一緒に検討したい」と考えている。  もうかる農業、とりわけ稲作の収益性アップにも取り組む。現在、管内の作付はほぼ100%、県内では約90%がヒノヒカリだが、同局では山形県品種の早場米で夏に強く食味に優れている「つや姫」の試験栽培を進めている。「高値取引が期待されるので、安心院を中心に試験的に約70㌶に作付しているところ。収穫したら私も関西市場に売り込みに行きますよ」と張り切っている。宇佐平野では、水はけの悪い水田の暗渠排水による、コメの収量アップにも取り組んでいる。  耕作放棄地を生かした飼料稲の栽培・販売と地区内畜産農家の飼料自給率アップによる畜産の経営安定も同局の大きなテーマの一つ。建設業から参入した安心院の企業による飼料稲の大規模栽培が注目を集めている。水産面では中津干潟のアサリ復活も展望が見えてきた。  趣味がないのが趣味とか。好きな言葉は「現状打破・創意工夫」というように、何ごとにも前向きだ。56歳。  略歴  昭和54年、中央大学法学部を卒業、県職員に。平成17年、農林水産部企画課総務調整監。環境部ごみゼロおおいた推進室長、土木建築部企画課長を経て、今年5月、現職。




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