大分建設新聞

インタビュー

上原正稔さん(日田産廃)

2011年08月01日
 日田市上城内町の日田産廃(有)は、県内では同社だけという廃石膏ボードをリサイクルした製品を製造している。「エコ頑固」と名づけられた地盤改良材(硫化水素が発生しないように無害化し、路盤に砂の代わりに敷き詰める)で、昨年、県のリサイクル認定製品に認定されている。同社で製品開発を担当した同社営業部の上原正稔部長に開発の経緯を聞いた。  「廃石膏ボードは、以前は安定型処分場で埋立て処理していました。しかし、法の改正で、管理型処分場での処理が義務付けられるようになりました。その結果、管理型処分場の残有量の減少や処分費の高騰、不法投棄など次々と悪影響が出始めたことから、リサイクルの検討を始めたんです」と上原さん。  研究を始めるうち、群馬大学の鵜飼恵三教授が廃石膏ボードを酸性土壌を中和する土壌改良剤として使用していることを知り、教授に面会を申し込んで指導を仰ぎ、資料を入手したという。その後、教授の紹介でNPO法人北関東産官学研究会が開いている、廃石膏ボードの再資源化ワークショップに参加したり、独立行政法人国立環境研究所の井上雄三博士の廃石膏ボード再生法研究会に出席するなどしている。  「その研究会には4年連続計4回出席しました。その後、21年から大分大学の佐藤嘉昭工学部教授と共同研究を続けて『エコ頑固』の開発にこぎ着けました」と開発までには多くの研究を重ねた。また、「県の補助金や支援なしには開発は成功しませんでしたので、関係者には本当に感謝しています」と続けた。  リサイクル認定商品として認定を受けるのにも困難はあったようで、廃石膏ボードからは硫化水素が発生するという噂があったため、認定審査員の中には難色を示す者もいたという。上原さんは、風評被害を解消しようとすぐさま「エコ頑固」からの硫化水素発生実験を試み、1年以上経過した現在でも発生はゼロであることを証明してみせた。  廃石膏ボード排出量は今後数年で180万トンに達すると言われ、廃棄物発生の抑制と資源の有効活用の観点からも、「エコ頑固」はとても環境にやさしい商品なのだ。




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