大分建設新聞

インタビュー

平野昭さん(大分県副知事)

2010年05月26日
 19年5月に農林水産省から県副知事に招かれて4年目。県政重点施策の一つ、第一次産業の活性化戦略を陣頭指揮する。今年策定した「アクションプラン2010」、そして建設業とも密接な関係にある「持続可能なもうかる農林水産業」の実現について聞いた。  ―「アクションプラン2010」のポイントは何でしょうか。  農林水産業の「The・おおいたブランド」の確立を目指し、これまでさまざまな取り組みを進めてきた。今年は活性化戦略2005の中間目標年に当たる。「アクションプラン2010」は、その目標実現のための具体的行動計画で、産出額2000億円を目指している。農業では1400億円を達成するため、東京や大阪など大都市市場でのトップセールスなどによる園芸作物の販売力強化、畜産物では豊後牛のブランド力強化で販売拡大を図る。林業では、原木安定供給体制の整備、シイタケの生産性向上と販路拡大などにより180億円を目指す。水産は、消費者への直接販売、東京・築地市場ルートの開拓などで420億円を達成したい。  ―「持続可能なもうかる農林水産業」については、特に農業、林業の分野で建設業への期待、可能性を強調されていますね。  農業は簡単にもうかる産業ではないが、一方で可能性に満ちた成長産業でもあると思う。今後、中長期的に食料需給がひっ迫してくると予想されている。その一方、日本の農産物は品質の高さが世界で高い評価を得ており、海外からの期待は大きい。国内でも地産地消意識の高まりや国産農産物への消費者のニーズは高い。建設業者にとっても農業は、経営資源の活用も可能で大きな可能性があるのではないか。まずは地域の農業者や団体と協調しステップバイステップで取り組むことが大切。県も、農地のあっせんや栽培技術の指導面などで全面的に支援していく。県内ではシイタケや茶栽培など19年から3年間で建設業者30社が農業に参入している。  ―最近は林業への参入も目立ってきましたが。  建設業者が持つ組織力、技術力、機械力は山林の作業道開設にも活用できる。県としても路網整備、森林整備などへの建設業者の参加を期待しており、入札制度を導入し、講習会なども開いている。  ―全国を知る副知事から見て、大分県はどんな県でしょうか。  恵まれた自然、豊かな海・山の幸、暮らしやすい温暖な気候。それに海にも山にも全国に誇れる観光資源が満ちている。温泉、風光明美な海岸線、九州の屋根といわれる山々そして歴史など、本当に豊かな県と思う。  ―足りないところがあるとすれば。  チャレンジ精神がもっとほしい。せっかくの宝物がまだまだ活かされていない。もう一つは「よそ者に活躍の場を与え、活用する余裕」かな。よそ者だから気がつくこともあると思う。私も、岩手県出身のよそ者です。 略歴  昭和51年、東大法学部卒業後、農林省入省。北陸農政局次長、東北農政局長、農林水産政策研究所上席主任研究官などを経て、19年5月から現職。岩手県出身。59歳。




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