大分建設新聞

インタビュー

大平敬二さん(大分土木事務所長)

2010年05月10日
 大分土木事務所の管轄面積は、大分市と由布市の合計820平方㌔で、佐伯土木事務所に次いで広く、人口は50万5800人で、県人口の42・2%を占め、県内土木事務所で最も多い。  同事務所の今年度最大の事業は都市計画道路下郡中判田線の整備だ。全体計画は延長840㍍、総事業費約92億円で、25年度完成予定。今年度は92㍍と146㍍の橋梁上部工2基を、6億9200万円をかけて整備する。「加納西交差点の渋滞緩和は地元の長年の要望なので、早期に完成させたい」と言う。  難工事であることはもちろんだが、それよりも心配なのは供用後のことだ。橋梁と県道や市道と接続する交差点の通行は一体どうなるのか。「多数の道路が交錯する変則的な交差点になる。もちろん警察との設計協議は終えているが、実際の車の通行をイメージすると心配でならない。造って終わりではない、という県民への強い責任感がある」。  交通については、もうひとつ案じていることがある。大野川有料大橋と米良有料道路が無料化された場合、周辺の交通は実際にどうなるのか。状況を注意深く見守り、対応するという。  もうひとつは大分市牧緑町の裏川の整備事業だ。県立芸術会館付近から国道197号付近までの464・6㍍を昨年度から施工している。大分市の「かわまちづくり」支援事業として行う河川改修事業で、自然石による護岸施工や散策路を設ける。散策路はクッション性が良好なゴムチップ舗装にするなど、快適な親水空間が誕生する。今年度の完成を目指す。  そのほか、大分港の港湾整備、急傾斜地崩壊対策、砂防工事などの事業を数多く抱えている。市街地の都市基盤整備のみならず、山間部の自然災害への対応、河川、港湾整備など多彩な土木行政を担うのだ。  若いころは文字通り、山を駆け巡っていた。その中で地元住民と対話し、要望に応え、常に現場の視点を大切にしてきた。交差点を通行する車への心配や、遊歩道を歩く人の心地よさなどへの配慮は、この「現場感覚」から生まれるのだろう。57歳。   略歴  宮崎大学工学部を卒業、昭和53年県職員に。港湾、河川、道路など土木行政の多岐にわたる分野に従事してきた。竹田ダム建設事務所長、農林水産部漁港漁村整備課長を経て、この4月から現職。




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