大分建設新聞

インタビュー

桒野修司さん(九州地整企画部技術開発調整官)、下請けが生き残れる施策を

2009年07月22日
 国は近年、金融支援や最低制限価格・調査基準価格の引き上げなど地方の建設業が生き残るための施策を打ち出してきた。発注にあたって地元の業者を優先することなどを繰り返し通達で地方公共団体に要望している。さきの閣議でも、官公需法に基づき中小企業への発注割合を分離・分割発注で引き上げることに決まった。桒野さんは九州地方整備局で、低入対策や契約後VEの活用推進、地元企業活用に対する加点など、入札制度改革に携わってきた。  国が描く建設業界の育成方針とは?桒野さんの考えは「棲み分けと技術力」だという。「元請で生きるところもあれば、下請で活路を見いだせるところもある。国の工事では下請に入るところが県の工事で元請になり、県の工事で下請に入るところが市町村では元請になるという具合に、棲み分けるのが理想ではないか」と言う。そうすれば過当競争がなくなるわけだ。「下請でも技術力は重要。下請表彰もあれば、下請保護の法律もある。建設マスターなど優秀な人材を擁する企業は当然、評価される。下請として評価される企業は受注も確保できる。技術力を持つ下請企業が優遇され、生き残る施策を議論すべきだ」。  今後の社会資本整備で大きな比重を占めていくとされる維持・管理市場でも技術力は重要だという。「新しくつくるよりも維持管理の方が高度な技術力が必要になる。現在の社会資本の寿命を延ばすためには、建設業界の技術力向上が不可欠だ」と、業界をあげての技術力向上を求める。  建設業界と国、地方公共団体は災害協定を結んでいるが、「建設業界に技術者がいなくなれば災害協定も無意味。また、技術者がいても仕事がなくなると会社がつぶれる。技術があるのに利益が出ない価格で落札して業界が疲弊してしまう、という状況は打破しなければならない。そして技術の伝承のためにも、若者の活気があふれる業界になってほしい」と期待を寄せた。




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