山本寛泰さん(伸和建設社長)
2008年12月19日
伸和建設(株)(中津市三光)の関連会社(株)エスティーエスユナイテッドは、18年12月に有料老人ホーム「シルバーヴィラおぐす」(32床)を開所した。両社の山本寛泰社長(38)に、異業種参入の動機や、施設運営の考え方などを聞いた。
「おぐす」は、同市牛神の県道中津高田線沿いにある。この県道は、大型車両が止めどなく行き交うが、施設に入ると意外にも閑静な雰囲気。
山本さんは「人に喜ばれる仕事でなおかつ地域貢献ができる。私の家族にも施設が必要な年寄りがいる。そんな理由かな。ただ用地にはこだわった。市街地で暮らしてきた方々に同じような環境下で入居してもらいたいから」と、福祉事業参入の動機と立地のポイントを話した。
参入に際しては、取引銀行から紹介された社会福祉法人の理事長に指導を仰いだ。運営面は知人の紹介で入社した施設長やスタッフとともにじっくり話し合った。「業種は違うが、本業の経営と本質的なものは変わらないので、これまでに得た経営知識をもとに事業計画を立てている。他のメンバーは、私や施設長の知人、グループ会社の社員の家族などに声をかけて、参加してもらった」と、経緯を話した。
「この仕事で、一番大事なことは、ケアの質をどのように確保し維持していくかということだと思う。人間が提供するサービスなので、提供する人によって様々な形として現れてくる。スタッフ全員のモチベーションを維持し、利用者や入居者が最も心地よい生活環境を提供できるかを様々な角度から考察している。それに介護の現場は決して楽ではないので、スタッフがよりオープンな環境で働けるよう気を配っている」。入所者、社内への心配りが利いている。
施設長以下にテーマを与え、気楽に話し合いながらスタッフによる自主運営を目指す。「経営者が経営方針を振りかざすと、みんな萎縮しついていけないと思うのではないか。おかげで定着率は他の施設に比べ高いと思う」と、現場に運営を任せるやり方に手ごたえを感じている。
既に約30人の入所待機者がいるそうで、「要望に応えられるよう何とかしたい」と、思いをめぐらす。「つい先日、2周年を迎えた若い施設ですが、地域に愛され社会に貢献できる施設として、スタッフとともに一生懸命頑張りたい」と、若社長は意欲満々だ。