大分建設新聞

インタビュー

戸高寿生さん(佐伯広域森林組合長)

2008年10月08日
 佐伯広域森林組合の第3代目の組合長に前直川村長の戸高寿生さん(60)が就任した。林業を取り巻く環境は相変わらず厳しいが、この組合は新しい事業にも積極的にチャレンジ。林家、組合の経営安定に懸命だ。  平成2年から6期18年間、組合の発展に尽力した長田助勝前組合長からバトンを引き継いだばかり。「長田前組合長と和田輝久元専務お二人のご尽力で建設が進んでいる宇目の製材工場を一日も早く完成させたい。工場完成により、県南地域に豊富に蓄積されている木材を加工までやることになり、木材の供給が計算できるようになり林業が安定化してくると思う。組合員へのメリットは大きい」と、製材工場の完成を心待ちにしている。  自然環境保護と経営安定化の一環で、代替燃料として活用できる可能性を秘めたペレット状粉炭の製品化を研究しているという。「木材を加工する際に発生するバーク(杉皮)は、産業廃棄物として扱われ、その量も年間2万3000立方㍍にものぼり、半端なものではない。処理費用も膨大になる。県の指導などで19年4月、バークを原料としてボイラー用の燃料(ペレット状粉炭)を製造する処理施設を竣工させた。バークや木屑を粉炭化する取り組みは各地で見られるが、組合では単なるエコ商品ではなく、あくまで重油と比較した低価格燃料としてとらえ、海藻成分を利用して粉炭をペレット状に成形するという製造過程を独自に開発した。県も支援してくれて、ミカンのハウス用ボイラーを昨年1台、今年は6台ほど作りハウスで使う計画がある。当面、その7台向けのペレット状粉炭の製造に積極的に取り組んでいきたい」と意欲的な戸高さん。  ただ、農山村の過疎・高齢化の進行とともに森林を守る担い手の減少が続いている。こうした問題を少しでも改善しようと、労働力不足の解消を目ざして、都市住民に呼びかけて森林ボランティア活動が始まった。今年初め、県企業局と調印した、企業局が管理する北川ダム上流域の森林整備事業など長田前組合長から引き継いだ課題は多いが、「とにかく組合員である林家が、やる気の出るような組合にしていきたい。全力で頑張る」と決意を語った。  林業経営に携わる傍ら、県内の林業研究会の連合組織の会長を平成4年まで6年間務め、前任は組合の理事。林業、組合経営には精通している。平成9年に旧直川村長に就任。2期目の途中、市町村合併により退任。60歳。




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