大分建設新聞

インタビュー

池永亀一郎さん(池永セメント工業所社長)

2008年05月08日
 池永セメント工業所社長の池永亀一郎さんは、並外れたアイデアマンである。コンクリート製品をつくり続けて半世紀以上という〝固い商売”を守りながら、柔軟な発想で新製品を次々と生み出してきた。  昭和51年、大分市戸次に現在の本社工場を新設してからは新製品の開発に取り組み、58年にはそれまで不可能とされてきた深さ700㍉で、しかも長さ2000㍉の新製品「パワー側溝」を開発、〝長尺型”の先駆けとなった。その後もFX(防音型)側溝、DO(管渠型)側溝、ザ・ウォール(宅地造成用擁壁)、BOXカルバートなど数多くの製品を売り出し、最近では超大型製品KTジョイントボックスの開発を進めている。  平成13年には、ISO9001・2000の認証取得を果たして品質保証体制を確立。飄々然とした池永さんは「ISO取得の意味は大きい。これで人材教育面で社会に貢献できる社員づくりの道ができた」と顔をほころばせる。「それまではいわゆる3K職場で、若い社員がキヤノンやダイハツに転職していくのを止められなかった」という。「モノ作りの魅力をどう伝えていくか。うちには60歳の定年を過ぎた社員が1割いる。キャリアも技術も十分なベテランが若い社員を育てていく。そんな会社にしたい」と池永さん。  業界の状況は厳しく安値競争は激化するばかり。しかし池永さんは「営業は安く売りたいだろうが、私はこう言う。一生懸命作った人の気持ちをないがしろにしていないか。価格は少し高くても客のメリットとは何かを考えよう、と」。  現場の仕事をより効率的にきれいにやるために、たとえばポケットに入る手帳型のカタログを作った。全国の業者の集まりで大好評を得た。小さな手帳の偉大な効果だ。  現在、ユニークな新製品を登場させ、評判を呼んでいる。道路のカーブ部分にも自由に対応できる防護柵用の連続基礎。県内で初めて商品化し、国交省の高い評価を得て別大国道の拡幅工事など九州全域の工事現場に販売している。古希に達した池永さんの頭の中は、まだまだ若者なみに柔らかく、アイデアにあふれている。




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