大分建設新聞

インタビュー

浅野 健治さん(浅野住環境デザイン代表)

2008年02月13日
 建築士で、(有)浅野建設(日出町)の専務取締役でもある。設計、建築業を営む父を尊敬し、同じ道に。大学で建築を学び、県内大手建設会社を経て、高校の恩師である村松幸彦さんの設計事務所に。木造の伝統と文化を学び、影響を受けた。  仕事の傍ら、日出町の歴史的な建造物「襟江亭」の保存をめざすNPO法人「風待ち茶屋」の事務局長を務める。大神漁港で朝市を開くなど、まちづくりにも取り組んでいる。まちと暮らしを愛する建築家だ。  今月2、3の両日、自らが設計・施工し、町内佐尾に完成したばかりの2戸の在来工法住宅で完成発表会を開いた。住まいにこだわる人々が相次いで訪れ、興味深く見学、浅野さんに熱心に質問を浴びせていた。  この家は大きな吹き抜けと、どこまでも開放的な間取りが特徴。南北に放たれた大きな開口部は十分な採光と通風。天井にはシーリングファンが舞う。柱や床にはスギ材をふんだんに使い、壁面は漆喰。モダンな造りだが、和の息吹と手触りを感じる空間だ。  「在来工法をベースに現代風にアレンジしています。この大きな吹き抜けは在来工法でできるぎりぎりの大きさ。漆喰は調湿効果があり、しかも変質しにくい素材」と浅野さん。木は佐伯産のスギにこだわっている。それも無節から一等材までバラバラな素材を適材適所で使う。「節のある製材こそが、自然素材の証。均質な外国材は表情がなく、地域らしさから離れていきます」。  2階の手すり部分などは上小節(ほとんど無節)。「さまざまな材料をさまざまに活かして加工する、そういう手仕事は大工さんも腕のふるいがいがあります」。アルミサッシ以外の建具も既製品ではなくオリジナルだ。「町内の建具屋さんにお願いして作ってもらっています。職人の仕事を絶やさないようにするのも、私たちの仕事です」と。  浅野さんは伝統にこだわるだけではない。この家はオール電化で、ワンルームかと見間違うような見通しの良い1階奥には、IHの大きなシステムキッチンが据えられている。「ガスだと垂れ壁を付けなければならないけど、IHだと防火の制限がなく、間取りの自由度が高い。しかも部屋が汚れにくい。最新技術も使い方で魅力的な空間作りに役立ちます」。  浅野建設&浅野住環境デザインは「大工さん10人と建築士のプロ集団」を名乗る。大工さんのうち7人は30代以下だ。地域性と伝統を重視する一方、柔軟な発想で設計、大工という職能、技能を発揮していきたいと頑張るグループだ。  昭和34年生まれ。48歳。


まちづくりにも積極的に取り組んでいる浅野さん

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