大林 和幸さん(山国川河川事務所ダム管理課長)
2007年12月07日
―耶馬溪ダムは北九州や中津市の水源ですが、維持管理のご苦労も多いでしょう。
大林 洪水と利水が2大目的です。今年6月、四国地方の渇水が報じられた時は、「耶馬溪ダムは大丈夫か?」と、マスコミからの問い合わせが殺到しましたが、耶馬溪ダムは90%確保出来ていたので、問題はありませんでした。このダムは、農業用水にも使われているので、夜中の2時頃から調整を繰り返します。雨が降っている時こそ、細かい作業が必要なんです。今年は80回以上の放流作業を続けました。17年度は100回以上でした。川の能力があり、水利権量は決まっています。例えば、今年8月2日の台風5号の時、午前11時頃から雨が降り始め、午後11時までに、ダム流域で平均201㍉の雨量を観測しました。午後9時のダム流入水量は最大毎秒718を記録しました。そこで毎秒約258を放流、残り毎秒460をダムに溜め込みました。その洪水調節の結果、本耶馬溪付近で約70㎝水位を低下させ、浸水被害を軽減させました。
―70㎝は大きいですね。床下と床上浸水被害では後の始末が違いますからね。
大林 その通りです。特に山国川は1級河川としては、川の長さも短いし、急勾配ですから、水位の調整は重要になります。
―地域住民の方々とのふれ合いを心掛けて、理解と協力体制を築かれていると思いますが、具体的には?
大林 ダムの水源地域は環境も変わっている。山手や農村部で、ダムを利用して、地域活性化に使っていただければ良いなぁと思っています。また、現在、中津市が運営しているアクアパークで、水上スポーツの場として活用いただいていますが、これからも、地域振興協議会やNPO法人「耶馬溪の自然と景観を守る会」などと、意見交換しながら周辺の環境整備事業を進めていきます。
―今後の維持管理の方針は?。
大林 ダムは100年を推計して造られており、本年度で23年目ですが計画通り、土砂などは堆積しています。強度や厚みなどは、計画段階で100年に1度の災害でも耐える設計になっています。異常気象でも、大きな変化がない限り大丈夫です。
「放水調節に気を使う」と大林さん
「放水調節に気を使う」と大林さん