大分建設新聞

インタビュー

山﨑 浩 さん((株)アーテック営業課長)

2007年11月24日
  コンクリート構造物の補強・補修を手がける(株)アーテック(日田市・彌永敏明社長)が、鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強工法の新技術「AT―P工法」を開発した。山﨑さんも開発に携わった一人。全国市場での売り込みを目指しながら、「まずは地元固め」と、今は九州一円を営業で走り回っている。  「平成7年1月に発生した阪神淡路大震災では、橋梁、橋脚の倒壊など多くの被害があった。これまでの一般的な耐震補強工法にコンクリート巻立て工法があるが、橋脚躯体断面が大きくなり適用できない場所などがあった。それらに対応できる補強をということで、大震災の翌八年から社員全員で新工法の開発に取り組んできた」といきさつを話す山﨑さん。  この工法は、橋脚の駆体周辺に設置している補強軸方向鉄筋を、駆体に施した溝切り部に埋め込むやり方。「コンクリートに溝を掘って補強鉄筋を埋め込むという発想はこれまでになかった。橋の架け替えを考えると低コストで補強が出来るため、その分多くの物件に対応できる」と自信をみせる。  開発にあたっては、「コンクリートを削工する機械や工具選びに苦労した。物が良くても施工性が悪いなど選定するのが大変だった。また、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録する書類づくりは、国交省が納得するまで、出しては訂正の繰り返しで1年以上かかった」という苦労話も。  現在、「AT―P工法」でモデル橋脚を使ってテスト施工をしている。今後は、愛媛県で2橋、岐阜県で2橋の工事予定があるそうで、九州内からも多くの問い合わせがあるという。  彌永社長は関東、山﨑さんは九州を担当し営業する忙しい毎日。「今後も、役所へのPRや設計折り込みなど地道な営業活動をやっていきたい。目指すは全国展開です」と意気込んでいる。




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