大分建設新聞

インタビュー

塚本 俊一 さん(52)(川田建設(株)九州工場工場長)

2007年11月24日
 杵築市片野の海沿いに、オレンジ色の門形クレーンが数台立ち、コンクリート製の橋げたを吊り上げている。ここは、PC橋梁メーカー川田建設の九州工場。その工場内に大量の木材チップが置かれている。チップのもとは、昨年の台風にで中津市の周防灘沿岸や耶馬溪ダムに漂着した流木である。集めた流木約2千m3をチップ化し、それを利用して屋上緑化という新たな事業を展開している。  「当工場では年間約3万トンのPC製品を生産できますが、公共事業の削減などの影響で、実質は半分にも満たない。こんな状況の中で、企業を存続させていくためには新事業の展開も必要になってくる。それが屋上緑化であり、環境事業なんです」と塚本さん。  商品名は「みどりちゃん」。芝や低木はもちろん、中木まで植栽が可能で、ビルの屋上などに本格的な庭園を造ることができる。チップを利用した独自の改良土壌を用い、雨水を貯留水として利用するため、一般的な気象条件では水やりが不要。県内では大分市役所屋上で施工している。  「国土交通省は、大規模ビル建設時に緑化区域の設置を義務付けることを法案化している。このような時代背景に合った事業展開をしていくことが大切で、お客様のニーズにどこまで近づけるかが会社としても大きな目標となります。うちの社員には『全員が営業』なのだという意識を持ってもらいたい。良いものを造り、満足していただけることが何よりの営業と考えています」と熱っぽい。  「みどりちゃん」はもともと産業廃棄物として委託処分していた型枠材の再利用策として生み出した。それが流木処理、再利用という形で生かされる。「資源を再利用することで社会に貢献できる。環境事業に力を入れ、緑の多い活力ある街づくりにも貢献したいですね」と笑顔で語った。




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