成松 和裕 さん(大分プラント工業)
2007年11月24日
鋼構造物主体の大分プラント工業(佐伯市弥生・長澤憲二社長)の現場職長を務める成松さん。十七年度の建設マスター(優秀施工者国土交通大臣顕彰)に選ばれた。「カントリーエレベーター現地組立て、据付工事の作業と総合管理ですが、平たく言えば、回りの皆さんのおかげで、大過なく現場職長の仕事ができたことと溶接時間短縮のため半自動溶接装置や2点押油圧プレスなどの工具を作り、効果をあげた創意工夫が認められたことかな」。顕彰理由をこう話した。
昭和三十九年、津久見高校を出て臼杵鉄工佐伯造船所に入社。平成2年に設立された大分プラント工業に移り、鋼構造物の製作に関わって40年。苦労もしたが、苦労すればするほど、成し遂げたときの喜びは大きい。
「陸の仕事に変わり、最初に手がけたのは志布志の飼料工場のタンク設備。勝手がよくわからず、施主さんに大変叱られもしたが、一番のよき思い出。若い頃は、一つの物を作り上げたとき、施主に引き渡す前、現物を見ながら一人で感激していましたね」。
百戦錬磨の職長でも、今も日々の苦労は絶えないと言う。
「仕事の性質上、工事の都度新しい現場で、新しいチームを組む。現場と工場、社内外との関係などあらゆる人間関係が入り組む仕事になる。その難しい人間関係のとりまとめが大変。それに職長として工事をやって金を儲けるのが使命だから、工事の都度、予算、工期など決められた範囲内で、無事故で仕事を終えなければならない。何年やってても『これだ!』と思う処方箋が見つからない。いつまでたっても安全第一の思考サイクルから卒業できない」と苦笑した。
後進の育成も、大きな仕事の一つで、既に後輩2人が職長、管理者として活躍している。
全国各地の現場を渡り歩き、奥さんと長女(長男は東京で独立)が守る佐伯市寺田区の自宅に帰るのは、月のうち数日。そのお詫びの意味も込め東京であった顕彰式には奥様ご同伴で出席。「少しは苦労のお返しができたかなあ?」。