大分建設新聞

インタビュー

太盛 壮人 さん(64)((株)洞門建設 社長)

2007年11月24日
 今から20年前、山国川改修工事の際に約5000m3の自然石を納入したことが巨石ピットアンカー工法開発のきっかけだった。  当時、建設省の工事では自然石を入れること自体が画期的だったが、「現場に行ってみると、せっかく入れた石の上にテトラポットを被せてある。そんな事をするより、石と石をつないで積み上げた方が川に住む魚や植物に良いし、強度だってそん色ない程度には出るんじゃないかなぁ…と漠然と考えたんです」と、当時を振り返る。  その後、間もなく中津市の豊洋中学であったPTAの会合で、生徒が発表した作文が背中を押すことに。「その生徒は、山国川はコンクリートだらけになって、ドンコもエビもいなくなったと言う。これを聞いた時に、私の考えと同じだ。よし、やってみよう」と、開発を決意したという。  試行錯誤を繰り返しながら完成したこの工法は、直径40・程度の石をアンカー材で連結しながら積み上げて石垣を築く。従来の練積み工法に比べ、石同士をアンカー材だけでつなぐため隙間の多い構造となり、水辺の生物や植物が生息しやすい環境と、自然石を使うため周囲と調和した景観づくりがをできる。  特許を取って営業を始めた。だが、全く相手にしてもらえない。「どこに行っても門前払い。自信を持っていただけにショックが大きかったですよ」。どうしたら採用してもらえるのか…考える日々が長く続いた。  「そんな時、ある人が『国土交通省のNETISに登録したら』とアドバイスしてくれたんです」。ただ、登録には公的研究機関のお墨付きが必要。「それで、大分高専と環境工学にお願いして各種データを揃え、やっと登録できました」。苦労の甲斐あって、今では九州各地で4カ所の施工実績ができ、問い合わせも増えたと、この時ばかりは笑顔を見せた。  太盛社長の次なる夢は?。「ヘドロが堆積した浜は、自然石を投入して攪拌すれば生き返る。危機的な状況にある中津の小祝、田尻、今津の浜をこの方法で再生させたい。それと私の開発したフィッシュ・ストックホーム(自然石を吊り下げた魚礁)を使って海の牧場を作りたいですね」と目を輝かせた。




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