大分建設新聞

インタビュー

佐藤栄輔さん(佐藤製材所(日田市))

2007年11月20日
 佐藤栄輔さん(33)は、佐藤製材所の佐藤浩幸社長の次男。5年ほど前、後継者として家業に入った。同社は、創業は昭和24年。建築材の製材・加工を主し、中でも造作材を得意とする。ほかにも、ふすまの下地材(骨組)の組立・製造も。佐藤さんは当初は製材業や材の知識は全くなかったそうで、文字通りゼロからの出発だった。  家業を継ぐきっかけは「木への興味があったことはもちろん、曽祖父の時代から続いている製材業を守ることや所有山林の管理などもある。家業の見直しや新しい事業へ挑戦してみたいと考えた結果」と語る。  若い世代から見た業界の現状について、「大手ハウスメーカーなどが建築材の加工・販売に進出し、プレカット工法などが主流になり、製材所の建築材加工は減った。私たちに残された道は、従来からの経営に加え、顧客のニーズや社会が必要とするものを創出していくなど、企業努力による低迷脱却しかない」と言う。生き残りをかけた方向性を自ら導き、持ち前の探究心とバイタリティーで、新商品の開発を進め、先に本紙で紹介した遮熱パネル「森のじゅうたん」の開発に成功。今は障子カーテンなどの開発も進めている。  「業界が建築関連業への橋渡しをし、木の地産地消の循環サイクルを作ることができたら」と関係業界の相互協力による向上の必要性を強調する。  自分への課題は「小さな商品でも、多方面での顧客のニーズに応えることを常に心がけ、『良い材料で良い物を作る』をモットーに頑張ること。そのためにも、目的に合った良い材を見る目が重要。もっと目を養なわなければ。日々勉強です」と話す。  佐藤さんは、日田市木材協同組合壮青年会や異業種企業が集まる「技術・市場交流会プラザ日田」に所属し、壮年会では勉強会や新商品の検討、子供たちの木工教室開催、プラザ日田では隈町づくりなど地元に密着した活動をするなど日田を守る若い世代の一人。  油絵(主に人物画)などを長年描いているようで、「描いている間は無心になれリフレッシュできる。気持ちが集中できた時は、夜遅くまで筆を走らせることもある」と家業に携わっている時とはまた違った一面を見せる。  取材に訪れると、工場で社員と一緒にふすま材を作製していたが、汗を流し何やら真剣に話している姿に、仕事に取組む真剣さが、かい間みえた。




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