大分建設新聞

インタビュー

宇都宮 鉄男さん(県北部振興局長)

2007年06月23日
 長らく本庁勤めで久しぶりの地方勤務。「自然が豊かで海に山、県内一の広い平野に2つの大きな川。バランスのとれた地域」を受け持つ宇都宮さん。中津、宇佐、豊後高田の3市にまたがる北部広域振興局の先頭に立つ。ダイハツ九州に代表される中津市の工業、麦焼酎・ワインの宇佐市の醸造業、昭和の町で知られる豊後高田市の文化と歴史、といった具合に確かにバランスがいい。だだし県内一広い平野と同時に、山国、耶馬渓、本耶馬渓、三光など中山間部地域も広く、そのための振興対策も多岐にわたる。「宇佐から豊後高田にかけてはかんがい用のため池が多く、736カ所にのぼる。このうち危険度ランクで決壊や漏水の確率が高い緊急のため池は130カ所。今年中に対策をとる」と宇都宮さん。残りは10年ぐらいのスパンでみている。「危険度で言えば”半夏生”(7月上旬)の頃の大雨も要注意。この時期は緊張の連続になる」と広域振興局長としての責任も強調。  管内の主要作物コメ、ムギ、大豆の中でムギの作付け面積は県全体の4分の3を占める。「ムギは土地の乾燥が必要なので暗渠排水対策(シートパイプ工法)などの基盤整備に取り組んでいる」と言う。こうした振興対策の積み上げで平野部1400haのうち今年中に70%を占める1000haの農地整備を終える予定だ。一方、中山間部地域にはブドウやイチゴ栽培を、激減した周防灘のアサリの復活、安心院・院内の養殖どじょう、など地域に適した振興策も進めている。  国や県では現在、農業振興策として集落営農組織の育成・法人化に取り組んでいるが、北部管内の法人数は18年末時点で120、任意組織が46の合計166。「法人組織120のうち3分の2は宇佐平野部。中山間部のコメだけ、ムギと大豆だけといった地域はまだ未加入のところが多い」と今後の課題を語る。  局員140人の指揮官としての心構えを聞くと「現場でしか価値は生まれない。各自が担当の垣根を越えて協力し合うことが大事。それに日常業務への地道な取り組み、ルーチンワークが基本」と、きっぱり。尊敬する人は、の問いには「現場で働いてる人の年期の入った顔、迫力ありますねえ」。あくまで現場を直視する人である。 略歴  昭和49年県入り。企画文化部広報広聴課長、企画振興部参事兼広報広聴課長、生活環境部審議監を経て、今年5月、現職。57歳。




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