大分建設新聞

インタビュー

奈良 崇史さん(玖珠土木事務所長)

2025年05月19日
 「山と高原に囲まれた雄大な自然。そして玖珠川に魅力を感じた」と初めての景観印象を語る奈良崇史所長。歴史ある町並みにも惹かれ、「観光資源が多く、休日には訪ねてみたい場所ばかり」と笑顔を見せた。
 一方で、災害リスクの高い地形でもあることから「自然災害への備えが重要だ」と危機管理への意識を強調。「災害対応では建設業界との連携が不可欠であり、平時からの信頼関係づくりが鍵」と語った。
 1993年に佐伯土木を初任地として以来、大分土木、豊後高田土木、中津土木など道路・河川を中心に県内各地で経験を重ねてきた。特に印象に残っているのが中津日田道路事業だ。大分県で最長のトンネル建設といった難易度の高い工区に携わった。「通常の生活道路とはスケールが違い、設計から工事、地元調整に至るまで、非常に学びの多い現場だった。多くの関係者と連携して進めた経験が業務の土台になっている」と振り返る。
 現在、特に力を入れている事業は三つ。一つ目は、国道387号引治工区の整備。「緊急輸送道路であるこの路線には、幅員の狭い区間や水害時の通行リスクがあり、災害時にも通れる道路整備が急務」と話す。二つ目は、2020年水害の被災地である野上川の改修。「川幅を広げるための岩盤掘削では、騒音や振動などでご迷惑を掛けることもある。事業の意義や進捗状況をかわら版などで丁寧に伝え、地域の理解を得ながら進めたい」と語る。さらに三つ目は、狭い区間が多く残る玖珠山国線の道路改良。「生活道路であり、観光資源でもあるこの道路を着実に地元の人たちに意見を聞きながら進めていきたい」と意欲を見せた。
 職場には若手職員が多く、「ICTへの適応力に期待でき、柔軟な発想力がある」と評価。「ベテランの経験と若手の感性を融合させ、風通しの良い職場で互いに高め合っていきたい」と語る。
 また、事務職員も含めて現場の成果を体感できるような研修の導入にも意欲を示す。「仕事に誇りを持ち、自分たちの業務が県民の生活の下支えになっているという意識を持ってほしい」と話した。
 建設業界に対しては、災害時の対応において建設業界が果たしてきた役割に「言葉に尽くせないほど感謝している」と強調。「行政、建設業、地域住民が一体となって、安全・安心な地域づくりを進めていきたい」と語った。
 仕事をする上で大切にしているのは「和をもって貴しとなす」と「兵は神速を尊ぶ」。前者は多様な立場の調整を重視する姿勢を、後者は早期対応の重要性を示す。「要望を受けたらまず現場へ。それが信頼につながり、問題解決の幅を広げる」と語る。地元の宇佐市から約1時間、単身赴任の休日は家族と愛犬に癒されて英気を養う。宇佐市出身の54歳。
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