大分建設新聞

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ため池技術力の向上目指す 技術研が講演会無料

行事・講習会・表彰大分地区
2025年01月31日
 大分ため池技術研究会(会長・大坪政美九州大学名誉教授)は1月29日、大分市コンパルホールで7回目となる2024年度技術講演会を開き、ため池整備にかかる一層の技術力向上と課題解決に取り組むとした。
 初めに、県農林水産部農地・農村整備課の小林康二課長があいさつで県内情勢を報告。
 それによると、昨年の台風10号災害で農地・農業用施設が約3700件、総額97億円という大きな被害が発生。国東市内の二つの農業用ため池で堤体が大きく被災した。県内各地にあるため池の約9割が明治時代に築造されていることから老朽化が進行し、耐震性や洪水時の排水能力が不足するものが多いと指摘。県では、県内全体のため池2113カ所のうち、決壊した場合に人的被害をもたらす恐れのある1027カ所を防災重点農業用ため池に指定している。
 このうち、現在、防災重点農業用ため池の改修済は400カ所でおよそ4割にとどまっている。県では遮水シート工法や底樋の2次製品化の運用方針を定め、ため池整備を推進。今後は、ため池決壊の99・8%が豪雨被害によるとの国の公表資料データが示されたことから、洪水吐改修など豪雨対策を先行実施する防災工事を加速化する。
 また、ソフト対策で、ため池点検の徹底と遠隔監視のための水位計や監視カメラの設置を新たに30カ所追加するとしている。
 小林課長は「農業用ため池の防災対策を徹底したい」と述べた。
 発表では、㈱秋田建設工業(国東市)の秋田裕範副社長が、国東市の鷲野尾池堤体工事において遮水シート工法施工時に留意する事例を報告。
 経費削減のため施工できる部分を一気に行うことが望ましいと思っていたが、遮水シートの予想をはるかに超える乾燥収縮と紫外線によるシートの劣化防止の養生(ブルーシートの施工)の手間が非常に厄介であること。そのため、遮水シートの施工は、盛土量(盛土施工3カ月程度)予定に対して施工を行ったほうが遮水シートの品質をより高められるとした。
 また、昨年2月に同研究会が宮崎県で現場研修した際、宮崎県から遮水シート工法の施工を分割して行うことが考慮されていると聞き、施工者は期待している―と話した。
 そのほか、タナベ環境工学㈱地質調査課(大分市)の後藤優文課長が「地質状況を考慮すべきケースの土取場調査について」、若鈴コンサルタンツ㈱(愛知県)の小林健太郎次長が「ため池防災・減災のための調査・設計・施工の留意点について」などの発表もあった。
 最後に、県土地改良事業団体連合会農村整備計画課の阿南貴章課長が、ため池整備構想(小規模化)策定で、国東市安岐町の尾迫溜池を例に貯水量と利用量の水収支計算を行い、ため池改修時の堤体の小規模化を検討する業務を紹介した。
 会場には、農業土木に関係する団体、企業、技術者ら約200人が参加。大坪会長は「本日の講演で技術を高め、現場の応用に役立つことに期待する」と述べた。
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