大分建設新聞

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能登で建物を調査 大分大が被災状況報告無料

行事・講習会・表彰大分地区
2024年11月01日
 県建築士事務所協会(仲摩和雄会長)は25日、大分市内で、今年1月に発生した能登半島地震に関する講演会をした。被災地の建物調査に入った大分大学は3月から9地区にかけて約7000棟を調査。結果、旧耐震基準の建物が38%、新耐震基準が39%、不明その他7%だったことが報告された。
 被災地の住宅被害は、全・半倒壊、火災や津波なども含め延べ6421棟。これは熊本地震での約8600棟に対して少ない。特に伝統的建造物群保存地区においては、神社など古い木造建築が多い地区でありながら倒壊した建物が少なく、現在でも原因調査が続けられている。
 講演で、理工学科の田中圭准教授は、能登半島全域で震度6強を記録し、約150㌔に渡って断層が動いた今回の被害は、死者401人、そのうち関連死は174人。建物倒壊による圧死などの直接死は227人で、熊本地震の直接死は50人とされており、大きな差があると指摘。その要因は、地震発生が正月ということで古い家屋に人が集まっていた特殊な状況が、被害を拡大させたとした。
 続けて黒木正幸教授が、被災地のRC造建築物被害を調査。RC造は地盤の影響を受けやすいが建物は耐震補強され何とか原形を保った。しかし、建築時に地盤改良が不十分だったため沈み込んでしまった家屋が多いとしたほか、島津勝准教授は、倒壊したビルの基礎、杭工事状況を詳しく調べて、ビルが横倒しになった原因や、そのエネルギー計算の結果について話した。
 会場には、会員や一般者も含めて約50人が出席。同協会の河野浩二常務理事(K2構造設計㈱社長)は「貴重な報告を、今後の建物設計や生活に生かしてほしい」と述べた。
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