大分建設新聞

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「遮水シート工法」研修 大分ため池技研、宮崎県内の現場で無料

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2024年02月16日
 大分ため池技術研究会(大坪政美会長・九州大学名誉教授)は8日、初めての県外研修となる大谷上溜池(宮崎県国富町木脇大谷)の現場研修を行った。
 研修目的は、ため池整備に適した盛土材料(遮水性がある粘土質の材料)の調達・確保が困難なため池の対策。代替的な改修工法として用いる「遮水シート工法」を研修し、会員の技術力向上と関係者相互の連携強化を図るのが狙い。現場技術者など52人が参加した。
 大坪会長は「遮水工法は緒についたばかりで現場を見る機会が非常に少ない。今日は貴重な現場を見ることができる。今後大分県のため池の施工に役立てていきたい」と宮崎での現場研修に意欲を見せた。
 大谷上溜池は堤高8・6㍍、堤長70・5㍍、貯水量2万5000立方㍍。江戸時代以前に築造されたため池で、受益面積11・1㌶、受益戸数45戸の防災重点農業用ため池でもある。宮崎県では遮水性のある盛土の入手が困難なことから、全ての工事に遮水シート工法を採用している。
 参加者は、天然の粘土「ベントナイト」を使った厚さ6㍉の遮水シートを触って確認した後、不整形地での切り貼り作業や雨対策などの施工上の問題点について質問していた。これに対して宮崎県中部農林振興局の松元雄之介技士から「遮水シートは厚さ1㍍の刃金土と呼ばれる粘土層に匹敵する遮水性があるが、一方で雨に弱いため、遮水シートを貼り付けした後は覆土するまでの間ブルーシートで覆う必要があり、手間が掛かる」などの説明を受けた。終了後、参加者から▽施工途中の現場に立ち入る事ができたため、仮設道路や仮排水など、任意仮設の内容が実際に確認できて良い経験となった▽施工会社の管理の大変さなどを聞くことができてとても勉強になった―などの感想が寄せられた。
 県農村基盤整備課の佐藤広光参事は「大分県でも特に国東半島のため池改修では刃金土の入手が難しくなってきており、経済比較により遮水シートを使うことが多くなる可能性がある」と語った。
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