大分建設新聞

インタビュー

古曾尾 誠也さん(アネット㈱総括管理者)

2023年12月04日
 生コンクリート製造業を始め、総合建設業、建設資材商社のアネットグループでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して業務の効率化に取り組んでいる。その取り組みの先駆者であるアネット㈱の古曾尾誠也総括管理者に、取り組みについて話を聞いた。
 DXの導入に向けては「導入するまでが面倒」「リスキリングの必要性」「DX人材の確保」など、建設業界をはじめ、各業界でも導入を躊躇する企業は多い。古曾尾さんはこの状況を改善し、業務効率化を図るため、DXについてゼロからの取り組みを始めた。
 まず、グーグルの無料サービスを使い、アネット専用のポータルサイトを立ち上げた。同社も他社同様人手不足の影響を受けており、長年の課題であったという。
 そこで、JIS認証の社内規格、品質管理などの資料をクラウド上に保存し、どこからでもリアルタイムかつシームレスに閲覧・共有を可能な状況とした。そして以前は紙で各部署に回し、承認を得ていた決済フローも電子印鑑に対応。「紙がなくなることで、場所・時間を問わずに職務ができるようになった。DXは、新型コロナウイルス蔓延が残した功罪の中で、まさに功の部分である」と話す。
 また、リモートシステムを活用して、製造管理用パソコンへ遠隔地からアクセスし、IP無線を使用して配車管理を可能とした。ノートパソコン、IP無線、ネット環境(極論スマホがあれば可)さえあれば、たとえ工場にいなくてもWEB上の配送車GPS管理情報により、生コン車の手配や管理が効率化できる。
 気になるDXの導入費用だが、最初は無料サービスを活用することで、ある程度のことは気軽にチャレンジできる。そこから必要な有料サービスを付け加えていくことで、業務の効率化がさらに進んでいく。「DX活用で、未開拓の主婦・高若年層も求人ターゲットとなり、生コン屋も立派に在宅ワークが可能となる。わが子を始め、デジタルネイティブ・Z世代の子どもたちも、遅くとも10年もすれば労働市場へ溢れ出てくる。業界発展のため、新たな人財に雇用を創造し、社会・産業を活性化させるプラットフォームを構築していくことも我々の地域貢献・CSR活動の一部なのだ」と熱く語る。
 今後は、年内にグループの販売・品質管理、また物流2024年課題への配車管理をDX化していく予定。「場所、時間、男女関係なく、誰もが公平に参画ができるようにすることが目標。また、わがグループだけでなく、幅広くDXの素晴らしさを伝えていきたい」と、他社、他業界からの相談にも乗ってくれるそうだ。
 九州経済産業局を始め大分県でもDXを推奨しており「まず第一歩を踏み出すことが重要」としている。無料の範囲から始めて、少しずつ業務の効率化を図ってほしい。
 古曾尾さんへの相談は(℡080〈1741〉7333)、またはメール(seiya.f@annet-group.jp)で。
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