大分建設新聞

インタビュー

岸元 和明さん(大分土木事務所長)

2023年07月03日
 略歴~1987年広島大学工学部土木工学科卒業後、県職員に。県砂防課を初任地に港湾課長、別府土木事務所長などを経て5月から現職。
 「大分土木事務所は初めての勤務。前任地の別府に比べて県都の大分は人口も多いだけに住民からの要望も多岐にわたる。担当者は苦労しているが、その分土木に対する期待が大きいと感じる。(ここは)初めてだが道路事業には長く携わっており、港湾課にもいて海のことも分かる。事業推進に戸惑いはない」と、県内最大の土木事務所の責任者に就任した岸元和明さんは毅然と言い切る。
 管内事業は、庄の原佐野線下郡・明野工区をはじめ、国道197号鶴崎拡幅、国道442号宗方拡幅など大きな道路事業が並ぶ。ほかにも大分港大在埠頭のRORO船用岸壁の背後地整備、大分空港ホーバーターミナル整備、ガントリークレーンの更新などビッグプロジェクトが目白押しで進行している。
 岸元さんは「これらは道路建設課と港湾課時代に関わっていた事業。鶴崎橋の桁が架かり始め、形が次第に見えてくると、完成に向かうのが楽しみ。とりわけ国道197号と442号は、県では初めて歩道と別に自転車専用道路を新設する工事。今後、自転車活用のモデルになれば」と期待する。
 現在取り組んでいる事業は、都市部が成熟した結果、昔の公共事業の容量が足りなくなって再整備しているものがほとんど。「まずはこういう期限が決まっており、完成が待たれている事業を進めるが、脚光を浴びる事業だけでなく、災害復旧をはじめ、橋梁耐震化や河川・砂防・急傾斜事業など県土の強靱化や舗装補修といったメンテナンスなど細かい事業もしっかりやらねばならない。2本柱で推進する」と、岸元さんは大きな事業と同時に足元にも目配りを欠かさない。
 建設業界に向けては「建設業界の方々には、災害時の初動態勢をしっかりしていただいた。例えば令和2年の豪雨災害の復興の途中で、再び令和4年災害が起きた。この時、湯平温泉線の道路が被災したが、わずか10日間で片側通行まで復旧できた。全て建設業者のおかげだ」と感謝する。また「道路に穴が空いたとか、側溝が詰まったとかの住民の要求にも迅速に対応してくれ、本当に助かった」と日常の急場にも即対応をとってくれる姿勢を高く評価した。
 一方で、建設業界の人手不足の深刻化。今後の人材確保と育成は喫緊の課題だ。これについて岸元さんは「公務員技術者も同じ課題を抱えており、業界と一緒になって取り組んでいかなければならない。この事務所も若手職員が増えており、育成が課題となっているが、職員が百人以上いる上に建物が古く部屋が細かく分かれているため、なかなか職員と顔を合わす機会が少ないのが難点。できるだけ各課を回り、設計書が回ってきた時には若手職員を呼んで話し合う」など機会を見つけて人材育成を図っていきたいと言う。
 趣味は野球と平均80台のゴルフ。これから大世帯を背負い、がんばる国東市出身の58歳。
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