大分建設新聞

インタビュー

北野 善隆さん(宇佐土木事務所長)

2023年06月27日
 略歴~1990年県職員に。宇佐土木事務所を初任地に五つの土木事務所、本庁道路建設課、大分土木事務所道路保全課長、日田土木事務所次長などを経て5月から現職。
 初任地の宇佐土木事務所に30年ぶりに戻ってきた北野善隆さん。当時と比べて見違えるほどきれいになった道路や町並みに目を見張る一方で「変わらない風景も感慨深い」と話し始めた。馴染みの喫茶店も残っているらしく「宇佐は喫茶店も多く単身赴任者にはありがたい」。
 臼杵、佐伯、豊後大野、竹田と県南・豊肥地区の全ての土木事務所で勤務経験があり、宇佐土木の前職場は日田土木勤務と土木分野のオーソリティーだ。その経歴の中で公園や道路の建設に深く携わり、県から国への土木に関しての要望や提言にも関わってきた。中でも「宇佐管内では宇佐別府道路の4車線化を担当したので、香下トンネルの工事に深い思い出がある」と苦労を振り返る。
 苦労と言えば、土木行政だけでなく、台風や豪雨による災害でも多くの苦労を経験した。「災害復旧、復興に力を注いできた」というその言葉の端々に当時の苦労と、それを乗り越えてきた頼もしさを感じた。
 自身の抱負も事務所の方針も「現場主義の徹底に尽きる」と断言する。2015年に土木未来行動指針が出されて以来、土木事務所の存在意義は、県民が主役の、県民とともに進める土木建築行政にあり、「すぐに駆けつけ、よく見て、よく聞き、常に改善していくという基本的なことを忠実に繰り返すことだ」と語る。
 職員には「現場主義で県民の声に耳を傾けるように」との心得を話している。「風通しの良い職場を作りたい。そのためには若い世代の職員の育成と雰囲気の良い職場づくり」と熱意を見せる。
 さらに「職場や事業活動のアピールも重要だ」と加えて、そこは行政だけでなく、「建設業界の皆さんと一緒に土木建築事業の情報発信に努め、喫緊の課題である担い手不足対策の手を打って行きたい」と言葉を重ねた。
 建設業界の新3Kと呼ばれる給与、休暇、希望の中で「休暇」については、単に週休2日制をプッシュするだけでなく、「DX推進やICT施工などを通じた業務効率化の延長から実現していく」と、言葉だけでなく現場を意識した現実味ある取り組みに期待を寄せる。
 「建設業界には、普段の社会資本整備はもとより、災害発生時に一番重要な『初動』の時に、いつも快くスピード感を持って対応していただいており、感謝しかない。同時に強い責任感を持って臨まれている。本当に助けられてきた」と、これまでの功績をたたえ、いつどこで起きるか分からない災害に対して「今後もご協力を」と心を込めた。
 北野さんは、部の野球チームで鍛えたスポーツマンで、地域のバドミントンクラブにも長く通っている。「スポーツは見るより、やる方」のタイプ。スポーツマンにふさわしく、サッカーとラグビーのワールドカップの両方に仕事でも携わった珍しい経歴も持つ。大分市出身の54歳。
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