大分建設新聞

インタビュー

渡辺 淳一さん(県中部振興局長)

2023年06月15日
 略歴~1990年県職員に。初任は豊後高田市の県税事務所で、本庁農林水産部団体指導・金融課長、総務部人事課長、同部審議監などを経て4月から現職。
 「初任地は、まだ昭和の町と呼ばれる前、豊後高田市の県税事務所だった」と渡辺淳一さんは振り返る。人事と農林水産という二つの分野を歩いてきた。印象深かった仕事は「熊本地震の支援」とひと言。「何とか人的支援の礎を築かなければ」という切実な思いで臨み、「大分県は南阿蘇村の支援にあたる人の配置を担当した」。
 地震直後の熊本に入ると、阪神淡路大震災を経験している関西広域連合の人たちが主体的に動いていた。その取りまとめていく姿を現場で見ながら「災害は初動が大切」だと、痛感したという。
 東日本大震災の時には、豊肥振興局から支援物資を送った。それだけに今回の就任で「振興局は地域の防災を担っている役割もあるので経験を生かせれば」と気持ちを新たにする。
 一方、儲かる農業にも取り組む。「農地を集約し、企業が参入することで生産拡大が成功している現場が大分市内の近郊(賀来中尾)にある。素直に驚いた」と言う。「地域振興や農林水産の振興ができるだけで満足。現場に足を運び生産者から生の声を伺うことがうれしく、日々楽しく仕事ができる」と振興局の仕事に喜びを隠さない。県の活動の中でも「普及員の小まめな現場対応から得られる成果の声は特にうれしい。知識が現場の生の声(反応)で裏付けられることが貴重だ」と振興局の役割を語った。
 職員に対しては「楽しくやってほしい」と話す。職場に閉塞感があると、能力がある職員のパフォーマンスは出ない。仕事をするのに苦がなくて、楽しく仕事ができれば100%以上のパフォーマンスが期待できる。
 渡辺さんは「職員の能力を信じている」と信頼を寄せる。仕事は日頃の信頼関係が大切。相手の気持ちを思うことが一番、言い方一つで上司が何を考えているのか気になるもの。「疑心暗鬼にならないように裏表なく言葉を選ぶ」と強調し、「今は画一的にやってもうまく行かない難しい時代。厳しさだけで組織を統率する時代ではない」と人事畑を長く歩いてきた渡辺さんならではの、組織を束ねる力の源泉を語る。
 県民が生活していくための基盤整備、いわゆる社会資本整備が一番重要で、それなしには生活できない。「これだけ災害が頻発、激甚化する中で、安定した生活を守っていくには、地域を知り技術と重機・資材を持つ建設業の存在は大きい」と建設業の重要性を強調。
 「高度経済成長期に造ったインフラ施設の老朽化に対する長寿命化は一番の課題で、これは建設業なしにはできない」。それだけに現在、全体的な人手不足の中にある建設業界について、「だからこそ建設業界は人の供給に安定的でなければならない」と喫緊の課題にも心を寄せた。
 高校生の時、ビートルズに惹かれてギターを持つようになったという。入庁後は当時のバンドに入れてもらったが、その後、偶然の出会いと結びつきにより自らバンドを結成した。客に合わせて誰でも知っている曲を演奏し、歌う。音楽が人の輪もつながりも大きくしてくれた、と県庁人生にプライベートを重ねて話を結んだ。別府市出身の57歳。
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