大分建設新聞

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温泉で地域活性化 大阪万博連携、シンポ〈別府市〉無料

行事・講習会・表彰別国地区
2023年06月12日
 別府市は10日、市内で大阪観光局の溝畑宏理事長、愛媛県松山市の野志克仁市長を招いて、「温泉シンポジウム IN 別府市」を開いた。同シンポジウムでは、2025年に大阪府で開かれる「大阪・関西万博」を契機に、観光などの広域連携、温泉を通じた地域活性化などを、別府市の長野恭紘市長を交えて熱く議論した。
 まず、溝畑理事長、長野市長、野志市長の順に講演。溝畑理事長は、万博・IR(統合型リゾート)を見据えた活動目標の一つである「日本観光のショーケース(アピール・披露)」で広域連携に取り組んでいくとし、その一つに温泉を挙げた。
 長野市長は、観光の課題として「国内の有名温泉地の平均宿泊日数は1・27泊で、別府市は1・09泊と平均より低い」「できる限り多くの時間を過ごしてもらうための工夫が必要」などと説明。「ユニバーサルツーリズム」「観光DX」「免疫力日本一宣言の実現」「食×観光」を4本柱にし、新たな価値の創造として「新湯治・ウエルネスツーリズム事業」を推進するとした。
 また、2025年までに観光庁の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」を使い、45事業者・全65事業の総事業費69・7億円(補助金額33・4億円)で、旅館やホテルなどの観光施設の改修、高付加価値化を進めるとしている。
 パネルディスカッションでは「なぜ今、温泉なのか」「どのように打ち出す」をテーマに熱く議論。長野市長が「温泉は別府の文化そのもの。アフターコロナだからこそ、温泉だ」、野志市長が「全国の市の中で、温泉がある市は意外と少ない。温泉は地域の宝。この宝を磨くことが、まちづくり」、溝畑理事長が「日本は世界一の温泉大国。世界に日本の魅力をどう伝えるかが重要」などと、それぞれ発言した。
 「どのように打ち出すか」では、野志市長が「それぞれの個性を出すことが必要。おもてなしをすることが大事」、長野市長が「平準化はダメ。各地域に特徴があるのが日本の文化。温泉を産業にしなければ、お金は落ちない。温泉の効能の見える化なども必要だろう。住んでいる人、観光業に携わる人が幸せでなければ、観光客へも親切にできない。まずは自分たちが持つものを磨くことが大切」とした。
 来場者から「外国人のタトゥー、LGBTQへの対応は?」との質問があり、野志市長が「道後温泉の飛鳥乃湯では、繊維メーカーのテイジンと開発した湯帳という服を着て入浴ができる」、長野市長が「各施設の判断に任せるファジー(あいまい)な対応をしているが、合理的配慮など、逃げずに議論を今後進めていく」、溝畑理事長が「やはり、ルール化は必要」などと答えた。
 最後に、長野市長が「インバウンドも大事だが、基本的には日本人に来てもらわなければならない」、野志市長が「観光は、飲食業、建設業など多くの業種が関わる。すそ野が広いので観光が盛り上がると波及効果が大きい」とし、マーケティング、効果検証をしながら、「稼ぐ体制のイノベーションが必要だ」と締めくくり、3者で温泉を活用した取り組みを推進する宣言書に署名した。
 シンポジウム前には、別府市と大阪観光局が相互の連携を強化し、大阪府と大阪市、別府市内各地域などで地域活性化を推進する協定の締結が行われた。
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