大分建設新聞

インタビュー

小野 克也さん(佐伯土木事務所長)

2023年06月06日
 略歴~1990年の入庁。2018年から2年間の東京事務所行政課参事、帰県後は臼杵土木事務所長、港湾課長などを経て、今年5月から現職。
 「初任地が佐伯土木事務所で30年ぶり2回目の佐伯勤務。仕事のイロハを教わった思い出の土地」と切り出した。
 「当時と比べ、生活を支えるインフラは確実に整備されてきているが、近年は予期しない災害が多発しており、まだまだ危険箇所が多い」と話し「観光や地域産業を盛り上げるために、港の整備や地域交通ネットワークの整備は欠かせない」と、現在の佐伯土木管内の現状を分析した。
 思い出に残る事業として、2年前の臼杵土木事務所の所長の時、雨も降らないのに(津久見)市街地で突然起きた斜面崩壊を挙げた。「梅雨時期で2次被害が予想されたが、市民も含め県、市、警察、建設業者などの関係者が、24時間の監視体制で得た斜面の動きや工事の方法、進捗状況などを情報共有をしながら復旧工事を進め、被害を最小限に抑えることができた」と振り返り、「建設業協会支部を中心に建設業者の方々が一致団結して、2次被害防止のため、課題となっていたH鋼仮設防護柵の設置をスピード感を持って完了してくれた。こうした発災時における業者の皆さま方の迅速な対応に大変感謝している」と述べた。
 土木事務所の運営については「現場主義の徹底。地域に密着して管内の皆さまの意見をしっかり聞き、すぐに動くことに努める」。また、土木事務所は有事の際の地域の総合防災センターとしての役割を持っているので「関係機関と密接に連携を深めて、災害時の危機管理体制の充実を図っていきたい」と、運営方針の2本柱を掲げる。
 当面の課題は「近年の台風などで浸水被害を受けた井崎川、久留須川、提内川の整備を進めるとともに、国道217号の戸穴(ひあな)バイパスや古江丸市尾線の道路改良で災害に強いネットワークづくりを進めていく」こと。
 「国が防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を進めている。これは、県土強靭化を図る好機だと考える」とした上で、通常の予算に加え、強靱化の予算も加わり、業務が確実に増えているスタッフに対し「一人一人が業務の効率化に努めながら健康管理にも努めてほしい。周りと助け合いながらチームで業務に当たってほしい」と、健康とチームワークを重視する。
 建設業界には「担い手不足中で厳しい業務環境が続くと予想されるが、引き続き社会資本の整備にご支援をいただきたい」と願い、「これまで建設業協会と連携して推進してきた施工の平準化や週休2日制、あるいは工事書類の簡素化など就労環境の改善に、これからも一緒に取り組んでいきたい」とさらなる連携を呼び掛けた。
 趣味は、登山に釣り、ゴルフと言い「自然の多い佐伯で楽しみたい」と継いだ。奥さんを別府市に残しての単身赴任は「東京や臼杵での経験もあり、あまり気にはならない。でも、佐伯は寮母さんが居るので助かっている」と本音を話してくれた。別府市出身の56歳。
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