大分建設新聞

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地震発生後、72時間を想定 佐賀関で防災訓練〈大分市〉無料

社会貢献・人材育成大分地区
2023年03月14日
 東日本大震災から12年を迎えた11日、大分市佐賀関では実際に小学校の体育館での宿泊を伴う防災訓練が行われた。東部・佐賀関地域振興協議会が主催したもので、大分河川国道事務所や県中部振興局、県教育委員会、県建築士会佐賀関支部、この地域の各種調査設計を請け負った復建調査設計㈱(本社広島市、來山尚義社長)など、約25者・団体が協力して実施した。
 訓練は大地震が発生して佐賀関地区が陸の孤島となり、外部からの応援協力が得られなくなった72時間を想定して実施。①県内初の宿泊を伴うものであること②帰宅困難者を対象に含むこと③避難所のプライベート空間を確保する紙管を使った間仕切りシステムを実際に組み立て、使用すること―などから、より実際の災害発生時に近い訓練として実施された。
 開会式では、髙橋幹雄会長(髙橋水月堂代表)が「今回の訓練は『減災訓練』だと思っている。食料の確保、コロナに対する感染対策、高齢者や地元企業に勤める帰宅困難者への対応などを実際のフィールドに近い場所で体験することで、いかに被害を少なくすることができるか、自分に何ができるのかを、学んでほしい」などあいさつ。来賓あいさつやプログラムの説明、班分けなどを行った後、東日本大震災発生時刻に合わせて全員で黙祷を捧げた。
 避難行動では、フェリーで訪れた道の分からない観光客、勤務先から帰れなくなった帰宅困難者(実際に地元の企業のJX金属製錬㈱の社員が参加)、地元の一般避難者の3グループに分かれ、約60人が佐賀関市民センターから佐賀関小学校までの道を、避難時に危険箇所となりそうな場所をチェックしながら移動した。
 避難場所の佐賀関小体育館では、復建調査設計の伊藤泰之大分事務所副所長が全体指揮を執りながら、社員らが参加者と協力して▽避難施設の運営に携わることになった場合の役割分け▽マットを敷く、毛布を配るなどの避難者受け入れ態勢の整備▽治療や介護が必要な人のための医療ブースの確保―などを段取りよく行った。プログラム内では、大分河川の長友久樹地域防災調整官や県建築士会の渡邊豊基防災委員会リーダーによる防災講話なども行われた。
 参加者は、▽家族が別の避難所にいるのが分かったので移動したい▽スマホの充電がしたい▽喫煙所はないか―などの避難者からの質問・要望にどう対応し、避難所を安全に運営するか、グループや個人で考え参加していた。
 訓練では参加者が実際に体育館で一夜を過ごし、翌朝には自衛隊が避難所を訪れ、炊き出しなども行った。
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