大分建設新聞

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「水害抑制」田んぼダムを推進 24年度から本格化〈国、県など研修会〉無料

行事・講習会・表彰大分地区
2023年02月22日
 県農村基盤整備課は15日、ホルトホール大分で田んぼダムの推進に関する研修会を開いた。近年、大規模災害が発生する中、流域治水対策の一環で水田による洪水抑制効果「田んぼダム」の理解を深めるとともに、農家や地域などがより広い面積で取り組むことによって、豪雨時、水害を軽減させるのが狙い。
 研修会には、県や市町村、農水省、国交省、農業関係団体など約180人が参加。県農村基盤整備課の安東正浩課長が「田んぼダムの普及には農家の理解が重要だ。研修会で意義、効果を理解してほしい」とあいさつ。
 農林水産省多面的機能支払推進室の松本勉室長は「面的に広がる水田の水貯留機能を充実させたい」、県土地改良事業団体連合会兼県多面的機能支払推進協議会の義経賢二会長は「河川の上流、下流地域が一体となって取り組む必要がある」と話した。
 松本室長や、新潟県見附市農村振興センターみつけの椿一雅事務局長が田んぼダムの取り組みについて講演した後、「地域が一体となった田んぼダムの推進について」と題して、松本室長をコーディネーターに新潟県の農業団体など4人によるパネルディスカッションが行われた。
 この中で宇佐市布津原地区環境保全組合の松木清会長が、地元ではほとんどの人が田んぼダムの名称を知らない実状を述べ、▽何のために取り組むのか▽どのような効果があるか▽麦や大豆など畑地化したところに水を貯めるのか▽冠水による稲の生育障害▽豪雨時に貯水すると法面が崩壊する恐れがある―などの問題について指摘を受けたことから、事業を進めるにあたり農家の不安を取り除くことが重要だとした。
 一方、県の安東課長は、行政にも説明責任があるとし、畦畔の高さを維持する対策、また排水桝の老朽化対策のほか、ソフト面で河川の上流、下流地域の連携づくりが必要など、今後の課題を述べた。
 県によると、2021年度から田んぼダムの実証実験を実施。杵築市広瀬台
18・3㌶、宇佐市布津原地区4・7㌶、中津市三光臼木地区9・9㌶、九重町千町無田地区8・3㌶など県内9地区62㌶を対象に、23年度までデータ分析などを行っている。県は翌24年度から本格的に取り組むとしている。
 田んぼダムは、近年、全国各地で注目され、02年に新潟県旧神林村(現村上市)が全国に先駆けて取り組みを始めた。
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