大分建設新聞

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まちづくりで県内初の試み 県建築士会が包括的連携〈杵築市〉無料

行事・講習会・表彰別国地区
2022年12月02日
 杵築市は、所有する歴史的な建造物や重要伝統的建造物をまちづくりで有効に活用したり、あるいは同建造物の解体の際に必要な調査記録、工法資料の保存などの処置を考え、県の建築士会(幸勝美会長)と協定を結んだ。建築士会と特定の市が包括的連携協定を結ぶのは県内では初めて。
 杵築市と県建築士会は11月25日、杵築市役所で包括的連携協定書の調印式を行った。永松市長、幸会長をはじめ、関係者約10人が出席した。
 同市では、市の北台南台重要伝統的建造物群保存地区をはじめ、市内に残る多数の歴史的建造物を調査・保存・活用する活動をしているが、それには専門的な知識と、歴史ある建造物、町並みを生かしたまちづくりを行う建築技術の専門家が必要となるため、県建築士会と協定、調印したもの。
 式では、協定書に永松市長と幸会長が署名、捺印した後、永松市長が「市は2021年3月に文部科学省、農林水産省、国土交通省の3省から『杵築市歴史的風致維持向上計画』が認定を受けるなど、杵築城をはじめとする歴史的建造物、城下町の風情ある町並みなどが高い評価を受けている。しかし高齢化や人口減少などから空き家が増え、残したい建造物の管理も困難になってきている現状がある。建築士会の力を借り、残っている価値ある建物を修理、保存につなげ、市のまちづくりに役立てていきたい」と協定の趣旨を語った。
 幸会長がこれに応え、「県下には1000人を超える会員がおり、歴史的な建造物を専門に学んでいる会員もいる。協定により、たとえ建物を解体する場合でも調査記録や工法を資料で残せるなど、協力できることは多々ある。一緒にまちづくりに取り組み、気軽に相談できる関係を作りたい」と述べた。
 今後の予定では、市は23年度に北台南台の物件調査、修理要望などに関する調査を行う予定で、翌24年度に実際の修理・修復作業にも着手したいとしている。
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