大分建設新聞

インタビュー

朝井 裕二さん(九州特殊土木㈱部長)

2022年10月24日
九州特殊土木㈱(豊後高田市、山中大成代表取締役社長)で技術部を統括管理する朝井裕二部長。同社が現在災害復旧に取り組んでいる日田市中津江地区の工事現場で話を聞いた。
現在、工事部門全体を担当しているが、技術士(建設部門・土質および基礎)の資格を持ち地質調査部門を自分のルーツとする朝井さんは「地域の安全・安心はもとより、生活を向上させる構造物を造る土木工事には、その前提となる地盤の調査が必要」と、まず地質調査の重要性を強調した。
地域のインフラを守るには、斜面上で発生する土砂災害の一つである地すべりを防止するため、その誘因となる地下水を抜くための工事が必要である。横向きのボーリング工で掘削した後に塩ビ管などを挿入する抑制工や、地すべりに対して抵抗力を生むために、鋼管やH鋼などを挿入して強度を増す杭工による抑止工などが行われるが「その多くは地中施工となり、完成しても多くの部分は見ることができない。われわれの工事は、まさに縁の下の力持ち的だ」と語る。
長い経験の中で、最も印象に残る工事は、杵築市灘手地区で施工した急傾斜地対策工事だと言う。工事期間が長かったこともあるが「地元の方々とさまざまな議論を交わす中で、人づきあいの大切さを学んだ」。地すべりは素因、誘因があって発生すること、それを伝えることの難しさと大切さを改めて知った工事だった。上下水道を引けない地区にとって命の水となる井戸工事にも取り組むなど地域貢献と地下資源の環境を含めたライフラインを守る工事の重責も担う。
北海道生まれの朝井さんは幼い頃に東京に移住し成長した。地質調査の会社に就職して営業をしていたが、Iターン・Uターンのイベントに参加した時、偶然九州特殊土木という会社に出会った。九州にも大分県にもまったく縁もゆかりもなかったが「地質調査技士の資格を買ってくれた。ありがたいことだと感じ、転職を決断した」。今でも自分を大切に扱ってくれる会社に深く感謝している。若い世代には、もっと意思表示をして欲しいと望む。
大分に来た当初は、醤油の甘さに驚き「飲食店で出てきたものは醤油じゃないと思ったほどだ」と笑う。今ではすっかり慣れてしまい、休みの日には手料理も手掛ける。土をとことん愛するが、アルコールも愛する。
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