大分建設新聞

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「空き家」判断基準見直し 9戸が補助に至らず〈大分市〉無料

行政・統計・データ大分地区
2022年06月06日
 大分市空家等対策協議会(会長・佐藤樹一郎市長)はさきに、市役所で2022年度第1回市空家等対策協議会を開いた。有識者14人の委員、市関係者など含め約25人が出席した。会では21年度の実績報告、および22年度の事業計画について説明が行われたほか、大分市特定空き家などの判断基準の改訂について提案が行われ、承認された。
 市は、倒壊などの危険により周囲の安全を脅かす特定空き家の対応・対策を進めているが、空家特措法の規定により、行政代執行などの応急措置を実行できるのは、特定空き家として認められた場合のみと定められている。これは「大分市老朽危険空き家等除却促進事業補助金」の支給要件に関しても同様で、補助金を利用して空き家を解体する場合は、工事を実施する前に事前調査を申請、現地確認などを経ての認定が必要。
 21年度は、市内で2戸が特定空き家(佐賀関小浜と野津原竹矢)とされていたが、いずれも補助金を活用しての自主解体で改善された。
 市によると、17~21年の5年間で「老朽危険空き家」などの撤去件数目標を85件と定めていたが、成果は54件に留まった。21年度は解体補助に対する問い合わせが137件あったが、不良度や周辺への影響の関係で申請に至らないケースも多かったという。また、13戸の事前調査が申請されたが、不良度が評点に達しなかったため、補助に至らないものが9戸あった。
 これを受けて市は、老朽危険空き家の撤去促進を図るべく、空家特措法および基本指針、ガイドラインなどに定義される「空き家」の判断基準の見直しを提案。具体的には▽基礎の不同沈下(建物の重みによって地盤や土台が不揃いに沈む現象)や部材の損傷などにより、建築物にガイドラインに近い傾斜が認められる、道路側に倒壊の危険がある▽土台の木材に腐朽、損傷、蟻害がある、または緊結金物に腐食がある、欠損している▽複数の筋かいに亀裂や、複数の柱・梁にズレが生じている、欠損している▽屋根ふき材や軒が損傷・変形・落下している、瓦が周囲に飛散する危険がある▽地域住民の日常生活に支障をきたす状態にはなっていないが、排水管などの破損などによる悪臭発生の恐れがある▽立木などが空家などの全面を覆っており、住宅の体を成していない▽小動物が住みついている、スズメバチの巣がある―など。
 改訂についての異議はなく、市は6月から基準を改訂し対応を進めるとしている。
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